エンリル(Enlil)は古代メソポタミア神話に登場する神。シュメール語ではエンリル、アッカド語ではエッリル(Ellil)と呼ばれた。
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エンリル神の系譜に関しては説話によって違いがある。彼の妻はニンリル女神である。ある説話では、エンリル神がディルムンを追放された後、ニンリルとの間に月神ナンナ(アッカド語:シン)神が生まれたとされる。その他に、ネルガル神、アダド神、イナンナ神、ザババ神など、数多くの神がエンリルの子供であるとされている。
エンリルは風と嵐の神であった。別のある説話では、人類を滅ぼすために大洪水を引き起こしたとされる。メソポタミアではしばしば洪水で大きな被害を出した事もあり、エンリルは強力な神として人々に認識され、シュメール時代からイシン・ラルサ時代にかけて最も重要な神として崇められた。エンリルを都市神としたニップル市は古代メソポタミアでも最も重要な宗教都市となり、エンリル神殿であるエ・クル神殿は長期間にわたって増改築を繰り返した。
バビロン市の隆盛に伴ってマルドゥク神の地位が上昇するにつれ、最高神としてのエンリルの神格は低下したが、アッシリア帝国の時代まで重要な神ではあり続けた。
エンリル神はシュメール統治にあずかる最高神としてイメージされており、領域国家の時期および統一国家確立期には王権を授与する神としてとらえられている。ただし、都市国家分立の時代や統一国家形成期における王権を授与する神はむしろイナンナであった。すなわち、都市国家分立の時代(イナンナ)→領域国家の時期(エンリル)→統一国家形成期(イナンナ)→統一国家確立期(エンリル)という交代がみられ、そこには、安定した統治を願う時代にはエンリル、拡張主義の時代にはイナンナという区別が認められる[1]。
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