ゴシック(Gothic)は、中世ヨーロッパの美術形式を示す用語、及びそこから派生した言葉である。
原意は「ゴート人の」を意味する言葉である。ルネサンス期の15-16世紀に、イタリアの美術家アントニオ・フィラレーテやジョルジョ・ヴァザーリらが、中世時代の美術を粗野で野蛮なものとみなして、「ドイツ風の」あるいは「ゴート風の」と呼んだことに由来する蔑称である(ゴート人が実際に用いていた美術様式という訳ではない)。中世の教会建築、絵画などの様式を示す概念になっていった。
ルネサンス期以降、ヨーロッパでは古代ギリシア・ローマの美や文化が理想とされ、暗黒時代とされた中世の文化には低い評価が与えられてきた。
ゴシックが再評価される契機となったのは、18世紀末以降になって中世風(ゴシック風)の建物を舞台にした幻想的な時代小説(ゴシック小説)が出版されるなど、人々の間に中世趣味が広がってからであった。
19世紀になってロココ様式や新古典主義に対する反動から、中世の時代へ関心が向かい、建築を中心にゴシック様式を回顧的に用いるゴシック・リヴァイヴァルが生まれた。イギリスの議会議事堂として使用されているウェストミンスター宮殿はその代表的な建築物である。また、一般の邸宅にもわざわざ中世風の様式を取り入れて建てられたものがあった。
上記のような経緯の中で「ゴシック」は本来の用法以外にも、多義に用いられるようになった。
特に近年ではさらに多義的に用いられるようになっている。
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