ジオン共和国(じおんきょうわこく)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の国家。ジオン公国の前身となった国であり、ザビ家が滅亡した後、宇宙世紀0080年にダルシア・バハロ首相を筆頭とした公国内閣(後の共和国内閣)による共和制復帰で国号を戻した。
目次 |
人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって半世紀が過ぎ、地球の周りには数多くの宇宙都市が誕生していた。 当初は地上の人口増加や環境破壊の対策として歓迎されていた宇宙移民もやがて中止され、地球に残る一部の特権階級と宇宙へ無理矢理移住させられた難民との間には軋轢が生まれていた。宇宙移民であるスペースノイドの中には日に日に圧政や差別を強める地球連邦政府に対する不満が蓄積していた。こうした中、地球連邦議会の評議員ジオン・ズム・ダイクンがコントリズムを提唱したが、議会にて孤立し、現地での活動によって成功を目指し、宇宙都市の一つであるスペースコロニー群サイド3に移民する。 政治家ジオン・ズム・ダイクンによって、連邦の支配から独立し、コロニー国家の可能性を示された民衆はコントリズムを信奉し、これは0040年代から急速に広まりつつあったエレズムと融合してジオニズムと呼ばれた。
宇宙世紀0053年、ダイクンはサイド3の首相[1]に任命され、0058年9月14日、サイド3は独立を宣言しジオン共和国を樹立する[2]。これに対して連邦政府は経済制裁[3]を行い、治安維持の為の宇宙軍を設立した[4]。ジオン共和国も国防軍を発足させ、武力衝突も辞さない構えであった。だが、当のダイクンはあくまで連邦政府との話し合いで宇宙移民の国家を認めさせる考えであり、けっして武力を用いての独立は望んでいなかったと言われている。
しかし、0067年にジオン・ダイクンが提出したコロニー自治権整備法案を連邦政府が廃案したため、ダイクンの政治的決着は挫折を余儀なくされてしまう。 これにより、あくまで政治的決着を模索するダイクン派とその側近であったデギン・ソド・ザビとの確執が表面化する。議会内部もダイクン派とザビ派に別れて対立していく。双方は互いに流血のテロを日常的に繰りかえすようになった[5]。 その最中の0068年、ダイクンが議会の演説中に心臓発作で急死する。一説にはザビ家の謀殺説も浮上しているが真相は不明である。後継人としてデギンが首相に選ばれた。この後、デギン・ザビの次男サスロ・ザビがテロによって死亡、ドズル・ザビが負傷するという事件が起こり、ザビ派によってダイクン派のテロであると報じられた。 ダイクン派は窮地に追い込まれ、ザビ派に鞍替えする者や、国外に脱出する者が相次いだ。ダイクン派の領袖であるジンバ・ラルは徹底抗戦の構えをみせたが、ダイクンの二人の遺児と共に地球へ亡命し、ジンバ・ラルの知人であるテアボロ・マスの養子となった。二人の名はキャスバル・レム・ダイクン(シャア・アズナブル)とアルテイシア・ソム・ダイクン(セイラ・マス)である。
デギンは実権を握ると反対派を一掃し、0069年8月15日共和制を廃止。公王制への移行を宣言した。権力を手中に収めたザビ家はあくまで武力による連邦政府からの独立を目指し、軍備を大拡張する。そして0079年1月、ジオン独立戦争(一年戦争)を開始した。しかしこの戦争は国力に勝る連邦が勝利し、ザビ家は滅亡。ジオン政府は連邦との終戦協定を結ぶ準備段階として共和制に復帰し、国号をジオン共和国に戻した。0080年1月、正式に終戦協定が結ばれ一年戦争は終結した。アニメ『機動戦士ガンダム』は戦争終盤の3ヶ月余りの物語である。
地球連邦政府は、サイド3のジオン本国がほぼ無傷であり、月面都市グラナダにも公国軍戦力が温存されていることを考慮し、それらとの衝突を避けるためにジオン共和国の自治権を認めた[6]。
連邦は、一年戦争におけるジオン公国の戦争責任を全てザビ家に帰結させ、ジオン共和国には問わなかった(その代わり復興支援も行わなかった[7])。そのようにして成立したジオン共和国は、連邦のスペースノイドに対する懐柔としての傀儡政権[8]の意味合いが強く再建はほとんど誰からも歓迎されなかった(特に、ギレン派の多いデラーズ・フリートに)。 翌0081年10月には両国の相互撤兵が終了している[9]。
その後も旧公国の残党勢力の蜂起は続くが、ジオン共和国として関わった形跡はない。 連邦政府の要望によって、ジオン共和国は旧公国の技術を提供していた。また、ティターンズの要請によって、チベ改やムサイ改を中心とした機動艦隊(共和国軍)を出動させている[10]。
0088年の上半期、グリプス戦役末期から第一次ネオ・ジオン抗争初期にかけて、サイド3は他のコロニーと同様、ネオ・ジオンによって制圧されてしまう。『機動戦士ガンダムΖΖ』の作中ではジオン共和国の政府や議会がこれにどう対応したか、ネオ・ジオンによる統治体制がどのようなものであったかは描写されていない。さらに同年11月、連邦政府はサイド3をネオ・ジオンに譲渡する[11]。12月から翌年1月にかけて、ハマーン・カーンとグレミー・トトの対立からネオ・ジオンが内紛を起こし、重要コロニー「コア3」が破壊される。最終的にはネオ・ジオンの自滅後、連邦・エゥーゴ艦隊によって解放されている[12]。
第二次ネオ・ジオン抗争時には、新たにネオ・ジオン(前述の同名組織とは別組織)がシャア・アズナブルによって組織されたが、このネオ・ジオンはスウィート・ウォーターを占拠し領土とした為、ジオン共和国とは関わっていない。ジオンの名を持つ国家と軍が並行して別個に存在していたことになる。
第三次ネオ・ジオン抗争ともいうべきラプラス紛争において、シャア・アズナブル亡き後のネオ・ジオン残党(通称「袖付き」)の後援をダルシア・バハロ元首相の長子であるモナハン・バハロ国防大臣が行っていた事実もあり、国防軍内には国粋主義的会派なども存在していた。モナハン・バハロは傀儡政権に堕した共和国に完全な独立をもたらしたいと画策していたようであるが、ネオ・ジオン残党の壊滅により水泡に帰した。
宇宙世紀0099年9月14日、ジオン共和国内部においてネオ・ジオンと共和国将校の一部がクーデターを起こしたが、一週間後連邦軍が出動しこれを鎮圧。その事後処理でジオン共和国は自治権放棄することを宣言し、翌0100年ジオン共和国は消滅した[13]。