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ハイカム

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ハイカムは、カムのうち、通常のカムプロフィールよりもバルブリフト、オーバーラップを大きくしたもののことである。レース用に用いられる他、市販車においても可変バルブ機構によって通常カム、ハイカムを切り替えられるものもある。

目次

概要

4ストローク機関における、エンジンの高出力化を目的とした部品。レースにおいてハイカムの装着はエンジンチューニングでは定番とも言える。通常の公道仕様車のカムプロフィールに比べ、エンジン特性を高回転寄り(ピーキー)な物にする。

一般に装着するとオーバーラップとバルブリフト量の増大により給排気ポートを拡大したのと同等の効果が得られる。低回転域から中回転域でのトルクは弱くなるが、高回転域では性能が向上する。レース用ハイカムにおいてはアイドリングすらしなくなる事もある。この現象は主にシングルスロットル車に270度以上のカムを組み込んだ時に起こりやすい。実はアイドリングがおかしくなってしまうのはオーバーラップが大きすぎ、その関係でサージタンク内にエアが逆流してしまい、それが吸気干渉を引き起こし、トルクカーブが極端に落ち込むことによって起きている。そのため吸気干渉を防げる4連スロットルやキャブレター仕様ではIN側、EX側に288度のカムを装着しても簡単にアイドリングさせることが出来る。

アフターパーツとして各パーツメーカーから販売されているもの、またレーシングパーツとしてバルブスプリングなどをセットして販売しているものがある。

カワサキ・ニンジャZX-12Rの初期モデルのようにハイカムが標準搭載された車種もある(アイドリングするのは奇跡的であるとも言われる)。大出力かつピーキーなエンジン性能は、製造元の川崎重工にですら「万人向けではない」と言われた事もあり、後のモデルチェンジで一般的なカムプロフィールに変更された。

レースベース車ではハイカムはスペア部品と共に標準で装備されている。

チューニングの点からのハイカム

現在「タービン交換するよりも先に組んだほうが良い」と呼ばれているぐらいにホットな商品になっている。というのも、ここ数年「ノーマルエンジン対応」のハイカムが各社からリリースされたからである。今まではリセス加工済みのピストンにしか対応しない商品が多かったのだが、東名パワードのコンプリートエンジン発売と共にリリースされた「ポンカム」がその低速から立ち上がるトルクカーブ特性、そして専用コンピューターをセットで販売されたので、セッティングもいらないと大ヒット。各社もそれに追随するようにノーマルエンジン対応のハイカムを出すに至った。

もちろんパワー嗜好のユーザー向けにノーマルエンジン非対応の商品もリリースされている。非対応とはいえ、バルブスプリングの交換程度で済むカムもあれば、ピストンがリセス加工済みである事が条件であるもの、究極的にはヘッド側にカムが当たらないように切削加工が必要になるものまである。

基本的にはカム角が大きくなればなるほど高回転高パワー、小さければ低回転高トルクの仕様になると言われているが、ターボ車ではある程度の角度を選ばないと、加給された空気が上手く燃焼室内に入らないため、ブーストアップポン付けタービンレベルでは256~264度がベストマッチだと言われている。

純正カム流用によるハイリフト化

社外品のハイカムを購入して使用する手法の他には、その車と同一エンジンを搭載した他車種・他グレード用のカムを流用してハイリフト化を図る事も、広義の意味でのハイカム化と言える。

特に、ターボエンジンとNAエンジンの両方がラインナップされている車種においては、充填効率向上の為にNAカムの方がバルブリフト量が大きい場合がある為、カムプロフィールを調査してこうしたカムを流用する事もチューニングアップのコツの一つといえる。

但し、ロッカーアームを使用したシリンダーヘッドの場合、後述の通りロッカーアームの長さによってカムの性格が変化する為、流用元のエンジンと流用先のエンジンの間でロッカーアームの寸法が異なっていないか[1]を事前に確かめた上で組まなければ、本来のカムプロフィール通りの動作が行えなくなってしまう為、注意が必要である。

ロッカーアーム式ヘッドでのハイカム

SOHCOHVエンジンなどではカムからバルブへの駆動伝達にロッカーアームが用いられている。これらのヘッドの場合、ロッカーアームを交換してロッカーアーム比の変更でハイリフト化を行う手法が存在する。この為、例えノーマルカムであっても特定のロッカーアームとの組み合わせでハイカムと同様の効果を得られる場合もある。

上記と逆の事例として、ローラーロッカーアームを採用しているシリンダーヘッドからロッカーアームを流用する場合が挙げられる。 この場合、元のスリッパー式ロッカーアームと流用するローラーロッカーアームの長さをよく確かめ、ローラーロッカーアームの方が長さが短いようであれば、カムシャフトもローラー式のシリンダーヘッドの物を用いなければ、バルブリフト量やバルブオーバーラップが減少して性能低下に繋がってしまう。こうなると、例えスリッパー式ロッカーアーム用のハイカムを組んでも、バルブリフト量の実測値がローラー式ヘッド用の純正カムを上回れなければ性能向上は望めない事に注意が必要である。 この為、OHVエンジンでのローラーロッカーアーム化が盛んな海外では、ローラーロッカーアームに組み合わせる専用のカムシャフトをローラーカムと呼び、スリッパー式の各種カムシャフトとは明確に区別して販売している。

この様に、ロッカーアームの長さの組み合わせ次第でハイカムにもローカムにもなってしまう為、ロッカーアーム式のSOHCやOHVのカムは直動式DOHCのカムと比較して、カム山の目視だけでおおよそのカムプロフィールを類推する事が難しいとされている。

外部リンク

脚注

  1. ^ ロッカーアームの部品番号が異なる場合は要注意である。単にラッシュアジャスターかメカニカルタペットかの違いだけであれば問題はないが、タペット形式が同じなのに部品番号が異なる場合は、カムシャフトよりもロッカーアーム比の変化によるバルブリフト量変化に比重を置いてカムプロフィールの設計がされている可能性がある為である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Text is available under GNU Free Documentation License.
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