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ヒガンバナ

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ヒガンバナ新エングラー体系
ヒガンバナ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Monocotyledoneae
: ユリ目 Liliales
: ヒガンバナ科 Amaryllidaceae
: ヒガンバナ属 Lycoris
: ヒガンバナ L. radiata
学名
Lycoris radiata (L’Hér.) Herb.
和名
ヒガンバナ(彼岸花)
英名
リコリス(red) spider lily

ヒガンバナ(彼岸花、学名:Lycoris radiata)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属多年草クロンキスト体系ではユリ科。リコリス、曼珠沙華(マンジュシャゲ、またはマンジュシャカ サンスクリット語 manjusaka の音写)とも呼ばれる。学名の種小名 radiata は「放射状」の意味。

目次

特徴

全草有毒な多年生の球根性植物。散形花序で6枚の花弁が放射状につく。

道端などに群生し、9月中旬に赤いをつけるが、稀に白いものもある。その姿は独特で、夏の終わりから秋の初めにかけて、高さ30 - 50cmの枝も葉も節もない花茎が地上に突出し、その先端に包に包まれた花序が一つだけ付く。包が破れると5 - 7個前後の花が顔を出す。花は短い柄があって横を向いて開き、全体としてはすべての花が輪生状に外向きに並ぶ。花弁は長さ40mm、幅約5mmと細長く、大きく反り返る。

開花終了の後、晩秋に長さ30 - 50cmの線形の細い葉をロゼット状に出す。葉は深緑でつやがある。葉は冬中は姿が見られるが、翌春になると葉は枯れてしまい、秋が近づくまで地表には何も生えてこない。つまり開花期には葉がなく、葉があるときは花がない。

分布など

北海道から琉球列島まで見られる。自生ではなく、日本には中国から帰化したものと考えられる。その経緯については、稲作の伝来時に土と共に鱗茎が混入してきて広まったといわれているが、土に穴を掘る小動物を避けるために有毒な鱗茎をあえて持ち込み、あぜや土手に植えたとも考えられる。また鱗茎は薬になり、救荒食でもある。そのような有用植物としての働きを熟知しての運搬の可能性も無視できない。

人里に生育するもので、田畑の周辺や堤防、墓地などに見られることが多い。特に田畑の縁に沿って列をなすときには花時に見事な景観をなす。湿った場所を好み、時に水で洗われて球根が露出するのを見かける。なお、山間部森林内でも見られる場合があるが、これはむしろそのような場所がかつては人里であったことを示すと見るべきである。

また、日本に存在するヒガンバナは全て遺伝的に同一であり、三倍体である。故に、雄株、雌株の区別が無く種子で増えることができない(遺伝子的には雌株である)。中国から伝わった1株の球根から日本各地に株分けの形で広まったと考えられる。

近縁種

ショウキズイセン(鍾馗水仙 L. traubii Hayward)はこれに似た別種で、葉の幅が広い点などに違いがある。またこの種は結実する。他にシロバナマンジュシャゲ L. albiflora Koidz. は、ヒガンバナの白花に似ているが、花弁がさほど反り返らず、またやや黄色みを帯びる。葉もやや幅広い。一説にはショウキズイセンとヒガンバナの雑種であるとも。

有毒性

全草有毒で、特に鱗茎アルカロイドリコリン)を多く含む有毒植物。誤食した場合は吐き気や下痢、ひどい場合には中枢神経の麻痺を起こして死にいたる。水田(あぜ)や墓地に多く見られるが、これは前者の場合ネズミモグラなど田を荒らす動物がその鱗茎の毒を嫌って避ける(忌避)ように、後者の場合は虫除け及び土葬後、死体が動物によって掘り荒されるのを防ぐため[1]、人手によって植えられたためである。ただしモグラは肉食のため、ヒガンバナに無縁という見解もあるが、エサのミミズがヒガンバナを嫌って土中に住まない。そのためにこの草の近くにはモグラが来ないともいう。

鱗茎は澱粉に富み、有毒成分であるリコリンは水溶性であるため長時間水に晒せば無害化することが可能であるため、救飢植物として第二次世界大戦中などの戦時や非常時において食用とされた事もあり、日本テレビの『所さんの目がテン』(2005年9月25日放送)では当時のレシピを使用しての食用実験をしたことがある。ただし、万全な準備の上専門家の指導の下で行われた実験であり、救餓植物として利用する際も厳重に注意して無害化しているため、実際に同様のことを行った場合、毒抜きの時間が不十分であったり、長期間食して有毒成分が体内に蓄積したりしたために中毒を起こす危険があり、絶対に真似してはならない。また、花が終わった秋から春先にかけては葉だけになり、その姿が食用のノビルアサツキに似ているため、誤食してしまうケースもある。

鱗茎は石蒜(せきさん)という生薬名であり利尿や去痰作用があるが、有毒であるため素人が民間療法として利用するのは危険である。

名前に関わる話

彼岸花ひがんばな)の名は秋の彼岸ごろから開花することに由来する。別の説には、これを食べた後は「彼岸(死)」しかない、というものもある。上記の飢餓植物としての面から一考する価値はあると思われる。別名の曼珠沙華は、法華経などの仏典に由来する。また、"天上の花"という意味も持っており、相反するものがある(仏教経典より)。仏教でいう曼珠沙華は「白くやわらかな花」であり、ヒガンバナの外観とは似ても似つかぬものである(近縁種ナツズイセンの花は白い)。 『万葉集』にみえる"いちしの花"を彼岸花とする説もある。「路のべの壱師の花の灼然く人皆知りぬ我が恋妻は」(11・2480)

異名が多く、死人花しびとばな)、地獄花じごくばな)、幽霊花ゆうれいばな)、剃刀花かみそりばな)、狐花きつねばな)、捨子花すてごばな)、はっかけばばあと呼んで、日本では不吉であると忌み嫌われることもある。一方、欧米では園芸品種が多く開発されている。園芸品種には赤のほか白、黄色の花弁をもつものがある。日本での別名・方言は千以上が知られている[2]

また、韓国では夏水仙のことを花と葉が同時に出ることはないから「葉は花を思い、花は葉を思う」という意味で「相思華」と呼ぶのに、彼岸花も同じく花と葉が同時に出ることはないので彼岸花も相思花と呼ぶことが多い。

学名のLycoris(リコリス)とはギリシャ神話女神ネレイドの一人、Lycoriasの名前からとられたもの。

彼岸花の名所

関連事項

季語
秋の季語
花言葉は「情熱」「独立」「再会」「あきらめ」
「悲しい思い出」「想うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」。
迷信
俗信では、家に持って帰ると、火事になる花とも言われている。

ギャラリー

脚註

  1. ^ かつては多くが土葬で、掘った墓穴に棺桶を埋め上から土をかぶせるものだったため、キツネなどの動物が掘り返しねぐらとするなど荒らされることがあったための処置
  2. ^ 熊本国府高等学校PC同好会が全国から収拾した調査結果 ヒガンバナの別名(方言)
  3. ^ 紅い花ではあるが、地元は彼岸=死のイメージを嫌いあえて曼珠沙華と呼ぶ

参考文献

  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物 草本I 単子葉植物』,(1982),平凡社

外部リンク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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