ファイル共有ソフト(ファイルきょうゆうソフト)とは、インターネットを通じてファイルを不特定多数で共有することを目的としたソフトウェアである。ファイル交換ソフトとも呼ばれる。一般にファイル共有と呼ばれる場合、著作権を侵害する用途に使われることが多いため、グループウェアなどで文章などを共有する場合はドキュメント共有と呼び、区別されることが多い。
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ファイル共有ソフトは、ソフトが定めた専用のプロトコルで通信を行うことで専用のネットワークを構成し、そのネットワークに接続された不特定多数のコンピュータとの間で共有されているファイルのやりとりを行う仕組みを持つソフトウェア。ファイルを保持するコンピュータと要求するコンピュータとの間に転送経路を確保するために、検索機能・マッチング機能を備えることが多い。効率的な共有を実現させるために、ほとんどのファイル共有ソフトはPeer to Peerモデルを用いて通信させる。
2001年以後、高速大容量通信(ブロードバンドインターネット接続)が世界的に発展するとともに、ファイル共有ソフトの利用者数も大幅に増加した。
日本において、当初は一対一でファイルをやり取りすることが主だったことからファイル交換ソフトと呼ばれているが、Winny以降、複数対複数でのやり取りが一般的になってからはファイル共有ソフトとも呼ばれている。
基本的に、サーバがファイルを一極集中管理し、サーバとクライアントとの間で転送を行う。全ての転送はサーバを経由することになる。
負担がサーバに集中するため、全体でのファイル流通能力はサーバの能力に依存し最も不利である。一方で、容易に管理が可能で、ファイルの変更や管理が即座に反映されたり、ダウンロードが要求後すぐに始まるなど、リアルタイム性では最も有利である。全ての検索・転送をサーバが把握できるため匿名性は無い。
HTTPやFTPなどを利用したファイル共有がこれに当たる。今ではファイル共有ソフトの方式としては余り利用されていないが、手軽さやリアルタイム性の良さから小容量のファイルの交換に関しては今も多く活用されている方式である。
基本的に、ファイルの転送はノード同士の間で行うが、ファイルの検索とノードのマッチングはサーバが行う。
一極集中管理が向いている検索をクライアント・サーバ・モデルで、分散管理が向いている転送をP2Pモデルで行うので、最も合理的で効率が良い。容易に管理も可能で、ファイルの検索に関してはリアルタイム性は良いが、ファイルのダウンロードに関してはノードの状態に依存しリアルタイム性は不利となる。全ての検索・転送をサーバが把握できるため匿名性は無い。
ファイル共有ソフトの先駆けであるNapsterの他、日本で有名なWinMX、海外で最も普及しているBitTorrentが挙げられる(アップロード/ダウンロード速度はクライアントの回線の種類と状況、マシンスペックに依存する)。
基本的に、全ての通信をノード間で行う。
サーバに依存しないため、ネットワークの耐障害性が非常に高い。本体を把握するサーバが無いため、実装次第では匿名性を確保可能である。ファイルの転送にしては効率が良いが、ファイルの検索がネックとなる。
手軽に共有できる点から著作権によって複製に制限があるデータを共有させるといった問題も発生している。
最初にファイル共有ソフトが著作権問題に問われたソフトウェアにNapsterがある。1999年12月にRIAAがNapsterを提訴し[1]、Napsterは非商用目的で共有するのは合法であると主張したが、米連邦地裁からサービス停止命令が出され[2]、Napsterもこれに反論し続けたが、2001年7月にシステム障害を理由として、ファイル共有ソフトとしてのNapsterはサービスを終了した[3]。
WinnyやShareなどのファイル共有ソフトは、ファイルを暗号化し、データを送受信してファイルを共有する。そのため配布者の特定が困難で、著作権の保持された音楽や映画、市販のソフトウェアなどを違法に交換する者が絶えない。
日本国内では、Winnyが高い人気を誇ったが、Winnyの開発者が逮捕され、利用者への取り締まりが進んでいる。それと呼応し、ShareというWinnyと類似した仕組みで動作するソフトウェアが開発された。現在はWinny・Share共に暗号化・匿名化の仕組みは解明され、配布者の特定が原則として可能になっている。ただし、特定にはそれぞれのネットワーク全体の絶え間ない監視が必要なので、監視を始める以前から存在するか、監視対象となる前のノードから発信されたファイルについては配布者特定は不可能である。
Napsterは1999年1月に公開された、音楽の共有を目的としたソフトウェア及びサービス。このサービスはMP3ファイルの共有を行うことができた。P2Pモデルを用いたファイル共有ソフトの先駆けであり、初めて多くの利用者を獲得したP2Pファイル共有ソフトとなった。尚、日本語に対応していないことから日本ではほとんど普及しなかった。RIAAから訴えられ敗訴したことをきっかけに、2000年7月にサービスは停止した。
ファイルの転送はP2Pで行うが、ファイルの検索・ノードのマッチングは専用のサーバが集中管理して行うハイブリッドP2Pモデルを採用している。このため、専用のサーバが停止すると一切機能しなくなる。専用のサーバはNapster社が用意したものを利用する。人気があるファイルを持つノードにアクセスが集中して転送が遅くなる問題を持っている。
最初のGnutellaクライアントは、AOL社のNullsoft部門の社員が会社に黙って開発し2000年3月に公開したものである。これはAOLによって公開・開発はすぐに停止されたが、このクライアントの解析によりプロトコルが解明したことで、さまざまな互換クライアントが今も開発されている。現在でもGnutella規格のクライアントソフトLimeWireなど多くの利用者がいる。
Napsterとの違いはピュアP2Pモデルを採用していることである。従来のファイルの転送に加えて、ファイルの検索・ノードのマッチングもP2Pで実現し、専用のサーバを不要とした。このように専用のサーバに依存しないためGnutellaネットワークは極めて高い耐障害性を持ち、いちど機能し始めてしまうと止めることは困難となる。
WinMXは2001年に公開された。マルチバイト文字に対応しているため、日本で初めて普及したファイル共有ソフトとなった。(Unicodeに対応しているかは不明。)高機能なチャット機能も持ち、独自のコミュニティが生まれている。雑誌による丁寧な解説もあり、初心者による導入も増え利用者の裾野が広がっていった。
2001年11月、日本で著作権の侵害を理由に利用者から逮捕者を出し、更に翌年には後述するWinnyが登場、利用者は減少傾向に転じたと言われたが、ACCSが行った実態調査[4]によると、2003年1月には8割以上の「現在利用者」がMXを「利用した事がある」と回答しており、その後は緩やかに減少するものの2005年の調査まで首位の座を占め続けていた。尚、ファイル共有ソフトの利用者が逮捕されたのは、世界的に見てもこれが初めてとなる。
2005年9月、アメリカ最高裁が出した判決によって公式サーバが閉鎖される。ただ、公式サーバの閉鎖直後に有志による後継サーバが立ち上がり、MXコミュニティは現在に至るも継続している。
Napster互換プロトコルによるハイブリッドP2Pモデルを採用している。ファイルの検索・ノードのマッチングを行う専用サーバは、公式サーバ(後継サーバ)の他に、個人が設置したサーバも幾つかある。
BitTorrentは2001年に公開されたプロトコル。非常に高い効率を持ち、合法的な用途では最も多く利用されている。多くのクライアントがある他、一部のウェブ・ブラウザやネットワーク機器などが対応している。WinMXの衰退により海外では多くの利用者がBitTorrentに乗り換えた。
従来のファイル共有ソフトは明示的に指定したファイルしかアップロードしなかったのに対し、BitTorrentクライアントはダウンロードしたファイルも自動的にアップロードするよう義務づけられている。これにより、人気があるファイルを持つノードへのアクセス集中は最小限に押さえられ、むしろ人気があるほど高速に転送できる性質を持つに至り、効率の良いファイル共有を実現した。
BitTorrentはハイブリッドP2Pモデルを採用し、ノードのマッチングは専用サーバが行うが、Napsterと異なりファイルの検索機能を持たず、ファイルの転送に徹している。利用者は、ダウンロードしたいファイル一つに対し、対応するtorrentファイル一つを用意する必要がある。専用のサーバは誰でも設置することができ多くのサーバが存在するが、torrentファイルに記録されているので利用者は意識する必要はない。ほとんどのtorrentファイルはウェブ・サイトで配布されており、torrentファイルを集めて検索機能を付けたサイトも多い。
Winnyは2002年5月に公開された日本製のファイル共有ソフトであり、匿名ファイル共有ソフトの草分けでもある。WinMXの利用者が逮捕されたことで、違法な共有を行っている利用者を中心に動揺が広がっていた時期であり、多くの利用者が匿名性を持つWinnyに乗り換えたといわれる。ACCSの実態調査では、2003年に「利用したことがある」が22.8%だったものが、2004年には「最もよく利用する」が40.3%と急増する(同年のWinMXは57.6%)。その後は減少傾向に転じたが、前述のWinMX公式サーバ閉鎖後の2006年には「主に利用している」が33.3%とWinMX(24.5%)を初めて凌駕して国内最多となった。
条件に合うファイルを片っ端から自動でダウンロードさせる地引と呼ばれる利用方法を初めて提案した。BBS機能も持ち、その用途でも利用されていた。マルチバイト文字に対応しているがUnicodeには対応しておらず、またローカライズが困難な仕様だったため、海外では殆ど普及していない。当時、匿名性が絶大に信頼されていたものの、2003年11月27日に著作権の侵害を理由に利用者から逮捕者が出たことで、Winnyの開発は停止した。翌年、2004年5月10日に著作権の侵害の幇助を理由に開発者も逮捕された。現在では解析が進んでおり匿名性は破られてきている。
Winnyは技術的なことも含め様々な点で特徴的であり注目を集めた。国内では初めての実用的なピュアP2Pネットワークソフトであったことも、その一つである。Winnyの影響を受けたソフトウェアも多い。
ピュアP2Pモデルを採用しているが、Gnutella等よりファイルの検索機能が効率化している。転送する時、ファイルをそのまま転送するのではなく、キャッシュと呼ばれるデータに変換してから(あるいは変換しながら)転送を行い、必要に応じて復元する。その際、一定確率で転送の中継を行うことで匿名性の確保を図った。BitTorrentと同様にダウンロードしたキャッシュは自動的にアップロードされるが、キャッシュは原則Winnyが管理し利用者は関与しない方針により、BitTorrent以上に徹底している。キャッシュは暗号化されているため、利用者は自分のノードが何を中継したか分からないようになっている。(実際には特定のツールで知る方法がある。)
著名なP2Pシステム(例えばwinny)の中にも、公開鍵をcertificate(認証を参照)せずに暗号化や署名を行っているものがあるが、これらは安全性上意味を持たない。逆にcertificateしてしまった場合は、データ秘匿だけは可能になるものの、(certificateの定義より)もちろん匿名ではなくなる。
一部では暗号化によってデータ秘匿や匿名性が確保されると喧伝されているが、暗号化(を使ったオニオン・ルーティング)によってデータを秘匿できるのは公開鍵をcertificateした場合だけであるし、暗号はそもそも匿名性を確保する為のものではない。
暗号学ではよく知られているように、公開鍵をcertificateせずに安全な方式を作る事は原理的にできない(なりすまし、一人二役、man-in-the-middle攻撃等を防げないから)。公開鍵をcertificateしない限り、電子署名と併用したとしても同様の問題が生じる。
また共通鍵暗号方式を使おうとも、公開鍵暗号と共通鍵暗号を併用しようとも安全ではない。共通鍵暗号単独の場合には鍵共有問題を解決できないし、公開鍵暗号と併用した場合には前述のcertificateの問題が起こる。
秘密分散(を使ったオニオン・ルーティング)を用いた場合も同様である。
ただし、素人に対するめくらまし、解読プログラムができるまでの時間稼ぎといった効果はある。しかし一度解読プログラムがばらまかれてしまうと、その解読プログラムを使えば素人でも解読できてしまうという問題もある。
コンピュータにインストールされるP2Pアプリケーションは、目的や用途を問わず、インターネットに対しポートをオープンにしてサーバ的動作をする場合が多い。また、クライアント的な動作のみであっても、いずれにせよアプリケーションにバッファオーバーフロー等のセキュリティホールが存在した場合、アプリケーション同士が常時接続している場合が多いだけに、ワーム、ウイルス等が急速にP2Pネットに感染拡大する脆弱性を持っている。実際にWinnyやShareなどをインストールしたパソコンから個人情報が漏洩する事件や機密情報漏洩事件が多発している(「暴露ウイルス」の項も参照のこと)。
Winnyなどにおけるウィルス感染・個人情報漏洩は、WinnyなどP2Pソフトの脆弱性によるものではなく、通常のウィルスと同等のセキュリティ対策を行なっていれば、対応できるものである。
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