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マッドサイエンティスト

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マッドサイエンティストMad scientist)とは、フィクション作品に登場する、常軌を逸したところのある科学者のことである。

「狂科学者」あるいは「狂気の科学者」と訳される。 類義語にマッドエンジニアMad engineer)があるが、両者の区別は明確ではない。

目次

概説

このような科学者は、SF作品や漫画アニメゲーム等といったフィクション作品において、科学的知識・技術などを悪用する人物、あるいは常軌を逸した理解しがたい人物としてよく現れる。

  1. 超絶的な頭脳を持つが、往々にして歪んだ信念や理解しがたい価値観、あるいはとんでもない欲望を持つ
  2. 超絶的な頭脳で物凄い発明や発見をするが、自分の研究が周囲に及ぼす影響や迷惑を何も考えていない

この様な類型の人物が、思いもかけない手法で大混乱を引き起こしたり主人公たちに魔の手を伸ばす、と言う描かれ方をされることが多い。勧善懲悪の要素があるものでは1、コメディギャグでは2の類型が多用される。

この様な人物は敵役ばかりでなく、しばしば主人公や主人公の仲間(大抵は主人公以外の人には理解されないことが多い)としても描かれることがある。

マッドサイエンティストの行動はしばしば以下のように表現される。

  • 人倫から外れた領域の知識を探求する。
  • 自らの研究がもたらす社会および自己への影響、あるいは研究の倫理的側面を考慮しない。
  • あまり倫理的ではない野心のために、その知識を積極的に利用する。

これらの特徴は、より穏健な形では「確かに天才で、科学に対してモノマニア的にひたすら情熱を注ぐ優秀な学者・技術者であるが、一方で一般社会の慣習や礼儀に疎いか無関心な為、自分の研究が起こす周囲への迷惑が見えていない、あるいは理解できていない」という形で描写される。たとえば、原水爆や猛毒の細菌の開発、遺伝子を操作して全く新しい生物を作出することなどに執念を燃やすこと等が該当する。この場合は、言動が奇矯ではあるが有用か、もしくは人騒がせではあるが基本的には無害な人物として描かれる。正義の味方が登場する勧善懲悪の物語であっても、この穏健なパターンのマッドサイエンティストは味方側として登場する事が珍しくない。この場合は「一見すると傍迷惑な奇人変人であるが、主人公にとって必要となる新アイテムを開発・供給する」という重要なポジションの人物となる。

マッドサイエンティストは、近代までは神の摂理や宗教下においてのみ管理され、行使されてきた科学的技術が、その範疇から独立し無関係に急速に発達していく中、見慣れない新しい人工物を社会にもたらし、社会と伝統的価値観を変容させていくことに対して大衆が持つ無意識的な恐怖を、人間の姿を借りて具現化したものと言える。

他方、なんらかのトラウマによって社会に悪意を憶え、それに対する手段を求めてとんでもない研究をする、というような、言わば積極的にマッドな科学者と言う設定もある。

ステレオタイプとその発展

マッドサイエンティストのステレオタイプは、19世紀の文学作品において「科学の危険性」を表現するために作り出された。この時期に頻発した科学と宗教との間の論争への理解が、初期のステレオタイプの特徴である。

マッドサイエンティストの原型とされるのは、1818年メアリー・シェリーによる小説『フランケンシュタインあるいは現代のプロメテウス』(Frankenstein, or the Modern Prometheus)(フランケンシュタイン)に初登場する、人造人間を作ったヴィクター・フランケンシュタインである。フランケンシュタインは(同情を呼ぶようなところもあるものの)、軽率かつ結果を顧みずに"越えてはならない境界"を越えて、禁じられた実験を行うという決定的な要素が、シェリーの小説において提示されている。

マッドサイエンティストたちは、第二次世界大戦後の大衆文化に盛んに見られるようになる。ナチス・ドイツにおけるヨーゼフ・メンゲレ医学者によるユダヤ人に対するホロコーストと残酷な生体実験と、アメリカ合衆国による原子爆弾の開発と広島市への原子爆弾投下長崎市への原子爆弾投下は、科学技術が制御を失った力、それを産み出した人類そのものを滅亡させる力を持つようになったという深い恐怖を巻き起こした。

この時期から、マッドサイエンティストは SFSF映画のなかに目立つようになる。

ピーター・セラーズが主人公ストレンジラヴ博士を演じた映画『博士の異常な愛情』(『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』)は、ブラックコメディではあるものの制御を失った科学の恐怖を究極の形で表した典型の一つと言える。

生命の創造や操作に対するマッドサイエンティストの挑戦は、その原型を錬金術時代の数々の伝説の中に見ることもできる。少なくともフランケンシュタイン博士による人造人間の創造はそのテーマを確立している。

しかし現代では、その描写は人々にとってよりリアルなものとなってきた。かつて想像の産物であったクローン遺伝子操作のような技術が現実となり、一方、生命倫理の議論がそれに追いついているとは言い難い。そのため、「技術だけが進みすぎている」という漠然とした恐怖を背景に、生命を操るマッドサイエンティストの暴走がよりリアルなものとして描かれるようになってきた。

さらに最近では、「隠された未知のものを探究する孤独な人物」としてのマッドサイエンティストの立場は、自然や法律を犯しても利益を得ることを企む企業や組織の幹部に置き換わっていく傾向にある(これは、科学技術が複雑化・専門化し、いかにマッドな天才でも、科学者一人で超発明をするという設定がリアリティを失ったためでもある)。彼らは歪んだ欲望を追求するために専門家たちをカネで雇い、アゴで使う。スーパーマンの宿敵であるレックス・ルーサー (Lex Luthor) は、もと大企業の社長であり、研究開発部門の重要な役職を勤めているが、彼はこのような変化の典型である。しかしなお、このポーズは読者の興味を引くために人気のサイエンスライターによって気ままに使われている(どういう訳か、危険かつ過激である程により興味を引くものとなる)。

マッドサイエンティストは、奇矯な振る舞いや極端に危険な手段を用いることで典型的に特徴付けられる。彼らの研究所ではしばしば、テスラコイルバンデグラフ起電機や、その他の火花を飛ばしたりポンと音を立てたりするガラクタなどが、ぶんぶん唸っている。また、ロボットアンドロイドが描かれる場合は、失敗作の手足や胴体があちこちに転がっていたりする。その為、多くの物語では、マッドサイエンティストおよび、その実験への遭遇については、「危険なのであまり関わらない様にするのが賢明なもの」として描かれるが、それに巻き込まれる、または否応なく対峙させられる事でシナリオは展開される事になる。

また、映像作品では端的にマッドサイエンティストである事を受け手に理解させる為に、容姿という面での小道具が利用される事も多い。その端的な例として挙げられるアイテムは白衣の他に黒いマントや、モノクル、異様に光の反射率が高い(レンズの向こう側の目が見えない)眼鏡、得体の知れない液体の入った白煙を上げるフラスコ、手入れされずボサボサの髪形、機械義手や身体の一部のサイボーグ化などである。具体的な例としてはアーケードゲーム超絶倫人ベラボーマン』の爆田博士が挙げられ、名前自体からしてそうであるが、黒マント、眼鏡、片手は機械の義手、さらにヘアースタイルが核爆発のキノコ雲を模しているという、まさにステレオタイプの手本の様なデザインであった。

全体として、マッドサイエンティストは:

  • 科学の倫理的な側面(たとえばニュルンベルク綱領のような)を無視する。
  • 人体実験を行う(必要とあらば自らさえ平然と実験台にする事もある)。
  • を演じる(少なくとも演じようとする)、或いは自ら神にならんと欲する。

マッドサイエンティストが引きつけられるとする研究・探究の分野は:

逆に、伝統的にマッドサイエンティストがほとんど見向きもしなかった分野は以下のようなものである。

また、工学と名の付く学問は概ねマッドサイエンティストの興味の対象であるが、信頼性工学金融工学交通工学の様にマッドサイエンティストの研究においてはまず登場しない分野もある。

日本の漫画・アニメーションに登場する科学者(常人も含む)は、科学者ではありながらも専攻がよく判らない「何でも博士」が多い。この場合、広範な分野に対して雑学的以上に精通していなければできない様な研究や発明さえ、一人で行う。

マッドサイエンティストを主題とした作品

五十音順に掲載する。

関連項目

外部リンク

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