メトシェラ(メトセラ、生没年不詳)は旧約聖書の『創世記』5章21節から27節に登場する、伝説的な人物。創世記によれば、エノクの息子で、かつノアの方舟で知られるノアの祖父にあたる。メトシェラは969歳で死んだと記述され(創世記5:27)、創世記において、したがって聖書において、最も長寿であった人物である。
メトシェラはエノクが65歳のときに生まれた(創世記5:21)。187歳のときノアをもうけ、ほかに男子と女子をもうけた。その齢は969歳であった。これが聖書正典に述べられる彼の生涯のすべてである。
ヘブライ語では、彼の名前は「彼の死がもたらす(môthô shâlach)」という暗号を含んでいる、という解釈がある。『創世記』の記述から計算すると、彼の死の直後に洪水が起きたことになり、彼の死の時まで神は忍耐を持って洪水を起こさなかったという解釈が出て来る。神の忍耐によって彼は最長寿となった。彼のあとノアとその家族らが残ったことから、また彼の信仰をノアが受け継いだとも考えることが出来る。
キリスト教においては、イエス・キリストの先祖であることから、一部の教派で聖人とされる。
旧約聖書の偽典の『ヨベル書』によれば、次のとおりである。 第12ヨベルの第7年周にエノクは天使ダネルとイエレドの姉妹の間にできた娘エダニと結婚し第12ヨベルの第7年周の第6年にメトシェラが生まれた。(後女子も生まれた。)
第14ヨベルの第3年周の第1年にメトシェラは天使エズラエルとエノクの姉妹の間にできた娘エドナと結婚しレメクと娘が生まれた。
なお同じく偽典『エノク書』には、エノクのもとにメトシェラがやってきて息子のレメクの息子のノアが肌が雪のように白く、バラより赤く髪は白羊毛より白く……天使の子に違いないと相談したとの記述がある。
メトシェラは、キリスト教やユダヤ教文化においては、長命な者の喩えに使われる。ロバート・A・ハインラインは長命種族を扱った小説に『メトセラの子ら』というタイトルをつけている。
また、トリニティ・ブラッド(吉田直著)では長生種・帰還者(人間は吸血鬼としてみている)をメトセラと読んでいる。