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ルネ・マグリット

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ルネ・フランソワ・ギスラン・マグリット (René François Ghislain Magritte, 1898年11月21日 -1967年8月15日) はベルギーシュルレアリスム画家


概論

「イメージの魔術師」と呼ばれるマグリットは、20世紀美術のもっとも重要な運動の一つであるシュルレアリスムを代表する画家である。マグリットの作品においては事物の形象はきわめて明確に表現され、筆触をほとんど残さない古典的ともいえる描法で丁寧な仕上げがほどこされている。しかし、その画面に表現されているのは、空中に浮かぶ岩、鳥の形に切り抜かれた空、指の生えた靴といった不可思議なイメージであり、それらの絵に付けられた不可思議な題名ともども、絵の前に立つ者を戸惑わせ、考え込ませずにはおかない。

マグリットの絵画は、画家自身の言葉によれば、「目に見える思考」であり、世界が本来持っている神秘(不思議)を描かれたイメージとして提示したものである(デペイズマン)。この点は、夢や無意識の世界を描き出そうとした他のシュルレアリストとは異なっている。

「言葉とイメージ」の問題を追求したマグリットの作品は、ミシェル・フーコーのような思想家にも発想源を与え、広告やグラフィックアートの分野にもその影響が見られるなど、20世紀の文化に与えた影響は大きい。日本においても1971年の回顧展をはじめとしていままで5回開催され、宇都宮美術館横浜美術館豊田市美術館などに作品が収蔵されている。

生涯

マグリットは1898年、ベルギー西部のレシーヌに生まれた。一家はマグリットの生まれた翌年にはジリという町に移り、1904年シャルルロワ近郊のシャトレに移る。マグリットは1913年の一時期シャルルロワに住んだこともあるが、1904年から1916年まで、少年時代の大部分をシャトレで過ごした。1912年に母が原因不明の入水自殺をとげるという事件があり、これは少年マグリットにとっては当然のことながら大きな衝撃を与えた。

1916年ブリュッセルの美術学校に入学。1910年代後半から1920年代前半はマグリットが画家として自分の様式を模索していた時期である。この時期にキュビスム未来派ダダデ・ステイルなどの運動を知り、また、ピエール・ブルジョワ(詩人)、E.L.T.メセンス(詩人、画家、音楽家)らの前衛的な芸術家と交際するようになった。マグリットは生活費を得るためにグラフィックデザインや広告ポスターなどの仕事をしつつ、抽象画や、キュビスムの影響を感じさせる作品を描いていた。1922年には幼なじみのジョルジェット・ベルジェと結婚。彼女は多くのマグリット作品に登場する女性像のモデルとなる。1923年(1925年とする説もある)ジョルジョ・デ・キリコの作品『愛の歌』の複製を見たマグリットは「涙を抑えることができない」ほどの感銘を受け、これがきっかけでシュルレアリスムの方向へ進む。


1926年の『迷える騎手』が最初のシュルレアリスム的作品とされている。1927年ブリュッセルのル・サントール画廊で初個展を行う。以後3年間パリに滞在し、フランスのシュルレアリストたちと交流する。しかし、マグリットはシュルレアリスム運動の理論的指導者であったアンドレ・ブルトンとはうまが合わなかったらしく、1930年ブリュッセルへ戻り、以降ベルギーを離れることはほとんどなかった。帰国後、詩人のポール・ヌージェらとともにブリュッセルのシュルレアリスム・グループを形成し、パリのグループと一定の距離を保ちつつ創作と活動を行うことになる。なお、マグリットが1930年から1954年まで、四半世紀を過ごしたブリュッセル市ジェット区エッセゲム通りの住居兼アトリエは、美術館として公開されている。

マグリットの生涯は、波乱や奇行とは無縁の平凡なものであった。ブリュッセルでは客間、寝室、食堂、台所からなる、日本式に言えば3LDKのつつましいアパートに暮らし、幼なじみの妻と生涯連れ添い、ポメラニアン犬を飼い、待ち合わせの時間には遅れずに現われ、夜10時には就寝するという、どこまでも典型的な小市民であった。残されているマグリットの写真は、常にスーツにネクタイ姿で、実際にこの服装で絵を描いていたといい、「平凡な小市民」を意識して演じていたふしもある。彼は専用のアトリエは持たず、台所の片隅にイーゼルを立てて制作していたが、制作は手際がよく、服を汚したり床に絵具をこぼしたりすることは決してなかったという。

代表作に「光の帝国」「白紙委任状」「ピレネーの城」「大家族」など。

彼の肖像は、その作品と共にユーロ導入前のベルギーの500フラン紙幣に描かれていた。

外部リンク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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