リンクメーカー| トラック| ヘルプ| ログイン

地殻

百科事典|ウェブ|画像|動画

地殻(ちかく、crust)は、天体固体部分の表層部。マントルの上にあり、大気の下にある。

以下では、特に断らない限り、地球の地殻について述べる。

目次

地殻の定義

地球をにたとえると、地殻は「殻」の部分に相当するとするとする説明が、いろいろな書籍に見られる。この説明は、地殻は固く(固体)、マントルは柔らかい(粘性流体、液体)とする、19世紀のモデルを想像させる。しかし、20世紀前半の地球物理学的研究により、マントル液体説は現在否定されてしまったので、その意味でこの説明は不適切といえる。地震学が示すマントルの物性は強固な固体であり、鋼鉄より硬い。ただし、数千万年の時間帯で観察すると、硬いマントルでも粘性流動を起こす。地殻はマントルよりも柔らかい。厚さの点から言うと、卵の殻よりもリンゴの皮に例えたほうが適切である。

地球物理学的に言うと、地殻は地上または海底からモホロビチッチ不連続面までの層を指す[1]地球化学的には、地球表層部に存在し、超苦鉄質超塩基性岩からなるマントルと対照をなす、珪長質酸性岩、中性岩、苦鉄質塩基性岩の層を指す。地球科学書以外の記事では、この「殻」には「地殻」と「リソスフェア」の2通りの呼び方があり、両者がしばしば混同、誤認されている。

地殻
地球化学的な観点から地球を深さごとに分けたうち、最も外側に位置するものである。地殻の下に位置するマントルがかんらん岩などの超塩基性岩から成るのに対して、地殻は花崗岩などの酸性岩・安山岩などの中性岩・玄武岩などの塩基性岩から成り、その違いから地殻とマントルを分けている。大陸地殻の厚さは地域変化に富むが、30 - 40kmくらいの地域が多い。他方、海洋地殻はほぼ均一で、6kmくらいである。海洋地域にはごく稀に、地殻が存在せずマントルが直接海底や水面上に露出するメガマリオンと呼ばれる地質構造が存在する。リソスフェアの表層を形成する地殻は、主体をなすマントルと比べ剛性が低い。すなわち「柔らかい」。
リソスフェア
地球物理学的に定義される地殻と上部マントルの両方にまたがる層である。すなわち、モホロビチッチ不連続面の上部と下部の両方を含む。リソスフェアは、その直下のアセノスフェアマントルと比べて粘性剛性が非常に高い。一般的な言葉では「硬い」と表現できる。プレートと同義。大陸地域では約120km、海洋地域では約100kmの厚さを持つ。すなわち、大陸地域のリソスフェアは75%がマントル、海洋地域では94%がマントルであり、リソスフェアは主として地殻ではなくマントルから形成されているといえる。その意味で、しばしば「リソスフェア・マントル」 (lithospheric mantle) という用語が用いられる。

地殻の構成元素

水圏および大気圏を含めた地殻の構成元素の重量比をクラーク数と呼び、このうち岩石圏主要元素について以下に示す[2]

O 46.6%
Si 27.7%
Al 8.1%
Fe 5.0%
Ca 3.6%
Na 2.8%
K 2.6%
Mg 2.1%
Ti 0.4%
P 0.1%

海洋地殻と大陸地殻

マントルは地球規模でほぼ均質であるが、地殻には大陸地殻と海洋地殻の2つの異なる地質構造が存在する。

海洋地殻

海洋地殻(oceanic crust)は、海底火山玄武岩質の噴出物等および同種のマグマに由来する斑れい岩質の貫入岩体から構成され、厚さは平均6km程度。大陸地殻と比べ、FeO、MgO を多く含みSiO2が低く、苦鉄質、塩基性である。深海底掘削船「ちきゅう」は海底から深さ7kmまで掘削することができるが、これは地殻を貫通しマントルに到達する目的で設計された。

大陸地殻

大陸地殻(continental crust)は、30km程度の厚さがある。大陸日本列島などを構成する地殻である。大規模な山岳地帯ではとくに厚く、チベットでは60~70kmにおよぶ。これは地殻を構成する岩石の密度が約2.7~3.0g cm−3でありアイソスタシーが成立しているためである。

多数の岩石の分析結果より推定された大陸性地殻の平均化学組成は、

であり、塩基性の岩石だけではなく、花崗岩片麻岩などの SiO2 を多く含む酸性の岩石からも構成される。

大陸地殻の体積は地球全体から見ると非常に小さいが、地球に存在する カリウム40、トリウム232、ウラン235、ウラン238などの放射性元素の約半分が高度に濃集している。またバリウムおよび希土類元素なども地殻に濃縮している。このことはCIコンドライト隕石の組成との比較から言えることであるが、これはカリウムが主に長石に集中しやすく、かつトリウムおよびウランなどはイオン半径および電荷が大きいなどの特殊性から、主にマントルを構成すると考えられるかんらん岩には固溶しにくく排除されやすいためである[2]

第二次世界大戦以前には、大陸地殻は花崗岩質の「上部地殻(A層)」(シアル, SiAl)と、玄武岩質の「下部地殻(B層)」(シマ, SiMa)に分かれているとされた。大陸地殻下部は海洋地殻につながると考えられ、大陸地殻が海洋地殻の上に浮かんでいるようなモデルが想像されていた。しかし、第二次世界大戦以後の研究で、現在では大陸地殻内にこのような極端な物質境界は存在しないことがわかっている。大陸地殻は水平分布において非常に不均質であるが、大まかに見ると上部は比較的シリカの多い酸性岩(花崗岩質、流紋岩質)が多い傾向にあり、下部はそれよりややシリカの少ない中性岩(閃緑岩質、安山岩質)が多い傾向にある。両者の境界は複雑に入り組んだ一種の漸移動関係とされている。もちろん、大陸地殻下部と海洋地殻は明瞭に異なる地質構造である。

関連記事

参考文献

  1. ^ 島津康男 『地球内部物理学』 裳華房、1966年
  2. ^ 松井義人、一国雅巳 訳 『メイスン 一般地球化学』 岩波書店、1970年

外部リンク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Text is available under GNU Free Documentation License.
地殻と関連のある記事を表示しています。
基盤岩
基盤岩(きばんがん、)は、地質学の用語であり、大陸地殻を構成する、古代の、そして最も古い変成岩火成岩から成る厚い基礎部分(しばしば花崗岩で構成される)を指す。基盤岩は、大陸の形成後に基盤岩の上に堆積した、砂岩石灰岩などの被覆堆積岩とコントラストを成す。基盤岩の上に堆積した堆積岩は、通常は相対的に薄い表層部を成すが、3 マイルを超える厚さになる場合もある。 地殻の基盤岩の厚さは、20 - 30 マイルあるいはそれ以上になる場合がある。基盤岩は堆積岩の下に位置するが、地表に露出して観察される場合もある。グランド・キャニオンの基底部では、17 - 20 億年前の古い花崗岩 (Zoroaster granite) と、結晶片岩 ([[:en:Vishnu Schis...
関連35百科事典ウェブ画像動画
地殻変動
地殻変動(ちかくへんどう、diastrophism)とは、地殻応力が加わることで、長期間にわたり地殻の位置が年間数mmから数cm程度移動する現象である。地殻を構成するプレート運動や断層運動と密接に関係している。 陸上では水準測量三角測量GPS、水管傾斜計、石英管伸縮計によって長期間にわたり観測されている。近年では音波を用いて海底でも観測が始まっている。地殻変動観測は地震の研究・予知やプレート運動の研究などに生かされている。
関連30百科事典ウェブ画像動画
クラトン
クラトン(、)とは、大陸地殻のうち、カンブリア紀以前に安定化した部分を指す。安定陸塊(あんていりくかい)、安定地塊、剛塊(ごうかい)とも呼ばれる。楯状地プラットフォーム(卓状地)とほぼ一致し、造山帯付加体に対立する概念である。 代表例としては、カナダ楯状地を包含する北アメリカ・クラトン、インド楯状地、東ヨーロッパ・クラトン東南極クラトンなどがある。 これらは、最低でも5億年、大陸超大陸の合体と分離の影響をほとんど受けずにきた大陸地殻の古い安定な部分である。いくつかのものは、20億年以上存在してきた。地表の侵食が進み、台地準平原構造平野などを形成している。
関連28百科事典ウェブ画像動画
関連記事をすべてみる
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Text is available under GNU Free Documentation License.
動画検索:地殻
地殻の動画検索結果を表示しています。
07:33
【高画質】直径400kmの巨大隕石が衝突したとき、地球で何が起こるのか
再生回数:366,141回評価:提供:You Tube
  
09:36
ANS概論(4)現代の地動説:地殻移動論
再生回数:1,010回評価:提供:You Tube
  
07:18
真の地動説とはポールシフトのことである
再生回数:4,173回評価:提供:You Tube
  
03:41
【ナショジオ】マンモス・マウンテンの火山活動
再生回数:14,578回評価:提供:You Tube
  
01:03
付加体形成実験
再生回数:92回評価:なし提供:You Tube
  
ようこそDIS/MASへ
ログイン | 新規登録
おすすめキーワード
関連ワード
その他の候補
おすすめの作品