模擬刀(もぎとう)とは、日本刀を模して作成された用具のこと。模造刀とも別称されるが、厳密には銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)に規定された模造刀剣類[1]に定義される物の一部である。抜刀術や居合道の修練用のものから床の間の飾りまである。真剣と違い刃物ではないため、所持許可証や登録証を必要としない。
目次 |
刀身は真鍮、亜鉛、アルミニウムなどの合金製で、錆びやすい金属はほとんど使われない。このため、保存するのにこれといった手入れの必要はないが、居合用に関しては刀身の磨耗を防ぐ、納刀をスムーズに行うなどの必要性から真剣と同様に刀油(丁子油、椿油)を塗布する。鍔は鉄製である場合が多く、防錆に注意を要する。
居合に使用される事が多いので居合刀とも呼ばれる。居合用の打刀は観賞用の物より高価であり、メーカーによって合金の比率など多少の差はあるものの、観賞用より強度に優れる。武道の中では比較的競技人口が少ないことから、模擬刀自体の製造メーカーも少なく、大会の会場では同じメーカーが特設市を開いている場合が多い。これらの特設市で購入する他、模擬刀を扱う武道具屋で拵えなどについて相談した上で発注したり、通信販売などの購入方法が有る。
少年用の2尺から長大な3尺まで幅広いが、日本人の体型に合っている2尺4寸5分の物が多く流通している。長い刀を扱うにはそれなりの熟練が必要であり、刀を鞘から抜き出す際に必要な「さやびき」等がうまくできなければ運用は困難である。
一重の物と二重の物がある。直刃以外にも互の目、湾れ、乱れ、三本杉、名刀の写しなど幅広い。名刀写しは直刃や乱れなどの通常刀身より若干値段が高い。
基本的に「掻き止め樋」が入るが、「2本樋」「添え樋」「真剣樋」などもある。薄口や厚口にすることで、重量を調節することができる。2尺5寸以上になると強度の面から厚口に限定される事が多い。柄に隠れるので表面からは見えない部分だが、茎(なかご)を頑丈にしてより真剣の感覚に近づけることもできる。また「菖蒲造り」や、小烏丸に代表される「鋒両刃造」、「ウノクビ(鵜の首)造り」なども存在する。
重量は刀身の重さと鍔の重さでほぼ決定する。使用者の体格、体重に合わせて発注する場合が多い。演武の際に見栄えが良くなる等の理由から適正重量よりも軽い物を用いる場合もある。
柄はホウの木製の場合が多く、柄巻きは真剣と同じようにしっかりと巻かれる。金具も様々で真鍮や銅に塗装、装飾をしたものが多い。鞘は丈夫なウレタン樹脂製や漆塗りの物が多いが、価格の削減と作成期間の短縮のため漆風塗料を使うことも多い。目釘も抜けるようになっている。
あくまで観賞用であるため刀身はアルミ合金などの弱い金属製が多く、強度は武術・武道用のものと比べれば劣る場合が多い。高価な物もあるが、全体的には安価で粗雑な物が多い。
打刀は2尺4寸程度の物が非常に多い。他に小刀(脇差)、太刀、白鞘大刀、懐刀、長巻、大太刀など様々なサイズの物が販売されている。
樋は入っていない物が多く、特殊な造りは少ない。例外として大太刀が挙げられる。
一重のみで、直刃と乱刃の物が非常に多い。
高価な物は本身と同じ拵えである。安価な物は柄が主にプラスチックを接着剤で固めており脆弱であるため、強度の面から素振り、居合道への使用は推奨されない。柄巻きは巻き方が間違っていることもあり、鞘塗りに漆や漆風塗料が使われることは無い。目釘は斜めに入っている事が多く、接着剤で固定されている為取り外しは不可能。
本科[2]の造りになっていない物も多い。
本科・本科写し[3]。
刃物ではなくとも形態・材質から、携帯した場合は銃刀法に抵触する可能性がある。鞘に収めただけの裸で持ち歩くことは勿論、ある程度プライベートな空間とされる自動車内でも、そのままで置いておくと銃刀法違反になる場合がある。
運搬時はすぐに使用出来ない状態で、正当な目的である必要がある。居合刀などの模擬刀であれば、通常の刀袋に入れた上で段ボールや革ケースなどに収納しておくことが望ましく、道場の稽古に伴う運搬、店頭で購入した帰り、売却途中である等、所持・運搬理由を説明できる状態にしておくことが望ましい。そうした点では真剣と変わらない。
薄刃の物は鋭く、手を切る場合もある。また、ほとんどの場合先端は尖っており、素人でも首・心臓・腹部などを突き刺せば致命傷になる可能性が高い。突き以外でも力任せに斬りつければ金属製であることから、当たり所次第で骨折や命に関わる重傷になり得る。