| 心筋梗塞 | |
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| 分類及び外部参照情報 | |
心筋梗塞の図 閉塞 (1) した先の心筋 (2) が壊死している |
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| ICD-10 | I21.-I22. |
| ICD-9 | 410 |
| DiseasesDB | 8664 |
| MedlinePlus | 000195 |
| eMedicine | med/1567 emerg/327 ped/2520 |
| MeSH | D009203 |
心筋梗塞(しんきんこうそく、英: Myocardial Infarction)は、虚血性心疾患のうちの一つ。心臓が栄養としている冠動脈の血流量が下がり、心筋が虚血状態になり壊死してしまった状態。通常は急性に起こる「急性心筋梗塞 (AMI) 」のことを指す。
冠動脈の血流量減少は、主に動脈硬化などの何らかの要因によって狭窄(きょうさく)を起こすことによる。心筋が虚血状態に陥っても壊死にまで至らない前段階を狭心症といい、狭心症から急性心筋梗塞までの一連の病態を総称して「急性冠症候群」(acute coronary syndrome; ACS)と言う概念が提唱されている。
目次 |
胸が締め付けられるような痛みを生じる。「痛い」よりも「胸が苦しい」「重い感じがする」などと訴えることが多い。通常狭心症では胸痛の持続時間は数分から十数分程度であるが、安静にしていても30分以上胸痛の持続する場合は急性心筋梗塞を強く疑う。左肩や顎への放散痛は特徴的といわれる。歯痛や、左上腕の重い感じのみを訴えることもある。糖尿病患者では痛みなどの症状に乏しいこともあり、めまい、嘔吐、心窩部痛など不定愁訴で発症することもあるため、見逃しにつながりやすい。
特に食後、寒い日の早朝、入浴前後、飲酒後、階段の昇降時、真夏、特に早朝のゴルフ中などの脱水症状から発症することが多い。
心電図 (ECG) の所見としては ST上昇や異常Q波が特徴的であり、これがどの誘導肢に現れるかで梗塞部位や責任血管部位の診断が行える。もちろんミラーイメージの ST低下も含む。hyper acute T は臨床所 見と組み合わせて判断する。
| 障害部位 | ST上昇誘導 | ST下降誘導(Reciprocal image) | 責任血管 |
|---|---|---|---|
| 中隔(Septal) | V1, V2 | (-) | 左冠動脈前下行枝(LAD) |
| 前壁(Anterior) | V3, V4 | (-) | 左冠動脈前下行枝(LAD) |
| 前壁中隔(Anteroseptal) | V1, V2, V3, V4 | (-) | 左冠動脈前下行枝(LAD) |
| 前壁側壁(Anterolateral) | V3, V4, V5, V6, I, aVL | II, III, aVF | 左冠動脈前下降枝(LAD)、左冠動脈回旋枝(LCX)、左冠動脈主幹部(LMT) |
| 広汎前壁(Extensive anterior) | V1,V2,V3, V4, V5, V6, I, aVL | II, III, aVF | 左冠動脈(LCA) |
| 下壁(Inferior) | II, III, aVF | I, aVL | 右冠動脈(RCA)・左冠動脈回旋枝(LCX) |
| 側壁(Lateral) | I, aVL, V5, V6 | II, III, aVF | 左冠動脈回旋枝(LCX)、左冠動脈主幹部(LMT) |
| 後壁(Posterior) | V7, V8, V9 | V1,V2,V3, V4 | 後下行枝(PDA) |
| 右室梗塞(RV) | II, III, aVF, V1, V4R | I, aVL | 右冠動脈(RCA) |
心臓超音波検査(エコー)は、ごく軽度の心筋梗塞を検出する上で心電図や血清生化学検査に勝る最も有用な検査であり、心筋の壁運動低下を検出することにより診断する。ただし、心尖部や下壁に限局した梗塞の場合など、明らかな壁運動異常(asynergy)を検出しにくい場合もある。 さらに副側血行路がある場合壁運動異常(asynergy)を呈さず、心電図も異常を示さず診断が困難になる場合も多々ある。
心筋梗塞による MR(僧帽弁閉鎖不全症)の有無の診断にも役立つ。三尖弁の圧格差(TRPG)を計測することで肺動脈圧を推定することが可能であり、心不全の評価にも役立っている。すでに壁運動低下部位が薄くなって輝度が亢進していればそれは陳旧性病変である。
心臓カテーテル検査は直接冠動脈を造影して狭窄血管部位を特定する。この部位の数や場所によって治療方法が決定される。
近年、医療機器の発達により、ごく少数施設のみではあるものの、64列マルチスライスCT (MDCT) による冠動脈病変の評価が可能となりつつある。心臓カテーテル検査よりも簡便で、入院や複雑な合併症なども少ないため、今後は多用される可能性が高い。ただし、心拍数や不整脈の影響を受ける、ステント内部の評価が困難であるなど、まだ万人の評価が可能とは言えず、今後の技術的発展が待たれる分野である。
特異的でないが必ずみられる所見として、AST(GOT)、LDH、CK、白血球、ミオシン軽鎖 の上昇があり、それぞれ上昇し始めた時期は発症時間の予測に役立つ。
一般的な血液検査で異常を来す時間は、白血球 2〜3時間、CK 2〜4時間、AST 6〜12時間、LDH 12〜24時間、CRP 1〜3日、ESR 2〜3日である。
絶対安静が原則である。発症後急性期には致死的不整脈が容易に起こり死亡する危険性が非常に高い。また、虚血の時間が長引くほど心筋の死滅が進み新機能の不可逆的低下が進行していく。発病を疑った際は患者から目を離さず直ちに救急車を要請すること、患者の意識が消失し脈拍を触れない際には躊躇せず心臓マッサージを行うことが必要である。機能的な心停止に陥った際には3-5分以上の無処置は社会復帰率をほとんど0にしてしまう。救急隊の到着を待たず直ちに救命処置(心臓マッサージなど)に掛かる必要がある。
心筋梗塞は、心筋に対する相対的・絶対的酸素供給不足が原因であり、安静にして酸素吸入を行う。また鎮痛および体の酸素消費低下目的で、モルヒネを投与する場合もある。急性期には心筋梗塞の病巣拡大を防ぐことが最大の目的となる。一般的に「アスピリン内服」「酸素吸入」「モルヒネ」「硝酸薬」などが中心に行われ、Morphine, Oxygen, Nitrate, Aspirinの頭文字をとって「MONA(モナー)」という名称で心筋梗塞のFirst Aidとして知られている。
発症6時間以内の心筋梗塞の場合、積極的に閉塞した冠動脈の再灌流療法を行うことで、心筋の壊死範囲を縮小可能である。これに限らず、発症から24時間以内の症例では、再灌流療法を行う意義が高いとされる。大別してカテーテル的治療 (PTCA, PCI) を行う場合と、血栓溶解療法 (PTCR) があり、国により、保険により、医師の判断により治療方針が分かれていることがある。日本では、PCIの可能な施設も多く、急性期であればPCIが行われることが多い。ただし、動脈を介した検査・処置であることから合併症も多い。特に心電図上STの上昇が見られた場合、如何に早くPCIを行うかが重要であるが、救急搬入後直ちに同療法を行える体勢を取っている病院は、心臓病治療の先進国である米国でも僅かである[1]。
狭窄部位が3つ以上であった場合などに、緊急冠動脈大動脈バイパス移植術 (CABG) が行われる施設もある。PCI と CABG を比較すると PCI では25~30%再狭窄を来すとされていたため、1枝病変であっても CABG に優位性があるという説もある。しかし、2004年から薬剤溶出性ステント (drug-eluting stent, DES) が保険適応となり、PCI の成績向上が期待されている。
急性期にインターベンションが成功すると、比較的予後は保たれることが多い。安定期には安静、内服加療が中心となり、疾患の特徴上糖尿病、高血圧、高脂血症などが併存することが多いため、これらに対する検査・治療、患者教育などが中心となる。
インターベンション不成功例、発症から時間が経過していた例などは下記の様な合併症を生じることが多い。
狭窄が生じた冠動脈の部位と発生からの時間で大まかに分別される。
心筋梗塞による急性期の死亡の多くは発症後の不整脈による。急性期24時間以内に最も多く発生し、心筋梗塞の死因の第1位である。
頻度は低いが、心不全は発症すると死亡率が高い。Swan-Ganzカテーテルで心機能を評価する Forrester分類に応じ、対症的に治療する。
発症数日後に生じることが多く、右冠動脈 (RCA) 梗塞の下壁梗塞に生じることが多い。たいていは発症すると重篤な僧帽弁閉鎖不全を伴い、心不全の原因となる。治療として CABG をおこなう場合は、同時に僧帽弁置換術をおこなうこともある。
心筋が壊死し、心臓の血圧に耐えられずに外壁が破裂する症状。基本的にこれが起こると即死となる場合が多く、助かることは難しい。 因みに右心室と左心室の間に穴が開くことを心室中隔穿孔という。
心室瘤は、左冠動脈前下降枝 (LAD) 梗塞の結果として心尖部に生じることが多い。心筋梗塞治療後も遷延する ST上昇の原因の一つである。破裂しやすく、心タンポナーデの原因となる。
発症数週間後に生じる自己免疫性心外膜炎。
発症すると致死率は20%と非常に高い。そのほとんどは急性期に生じる不整脈を合併した例である。発症後48時間以内の致死率が特に高いため、それを乗り切れば救命できる確率も高くなる。
特に急性心筋梗塞については突然死となる事も珍しくない。この為、芸能人などの著名人をはじめ、実業家、政治家などが自殺や薬物過剰摂取などで急死した場合などにおいて、遺族や関係者の意向、あるいは商業的・政治的な事情などからこの事実をあえて伏せたい場合に、急性心筋梗塞が表向きの死因とされる事が見られる。なお、これと同様の事は急性心不全、脳出血などにもいえる。
著名人の死について、死亡当初は急性心筋梗塞として公表されながらも、実際には自殺や睡眠薬の過剰摂取事故であったという事実が、死後ほどなく、あるいは長期間経ってから遺族や関係者などにより明らかにされた事例は存在している。その実例としては中川一郎、大下弘などが知られている。
また、当初の死因を異なって発表した事も要因となって、かえってその死に不審を抱かれ、身近な人物による他殺説などと言った陰謀論の暗い影がつきまとってしまう事も見られる(中川のケースでは、秘書であった鈴木宗男による他殺説というものが流布された)。
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