控訴(こうそ)とは、第一審の判決に対して不服がある場合に、上級の裁判所に対してその判決の確定を遮断して新たな判決を求める不服申立てをいう。上訴[1]の一つ。
概説
日本法など大陸法系訴訟法においてみられる概念であり、控訴審判決に不服がある場合にさらになされる不服申立てである上告とは厳密に区別される。日本法においては、裁判所法16条1号、24条3号、民事訴訟法281条以下、刑事訴訟法372条以下に規定がある。
- 民事訴訟の場合
- 一般に、第一審が簡易裁判所であれば地方裁判所に、第一審が地方裁判所又は家庭裁判所であれば高等裁判所に控訴することができる(民事訴訟法281条、裁判所法16条1号・24条3号)。
- 控訴期間は、判決書の送達を受けてから2週間の不変期間である(民事訴訟法285条)。この期間内に、控訴審を担当する裁判所(控訴裁判所)宛ての控訴状を、第一審の裁判所に提出して、控訴の提起をする。控訴状に、控訴の理由が記載されていない場合は、控訴状提出から50日以内に、控訴理由書を提出する(民事訴訟規則182条。もっとも、理由書の提出が期間に遅れても、316条1項2号で却下理由となる上告理由書と異なり、287条が却下理由とはしていないため、受理してくれる場合もある[2])。
- 刑事訴訟の場合
- 被告人または検察官が控訴することができる(刑事訴訟法351条)。また、第一審における弁護人、被告人の法定代理人・保佐人も、被告人のために控訴することができる(刑事訴訟法355条・353条)。通常の控訴審は、高等裁判所が担当する(裁判所法16条1号)。
- 控訴期間は、判決の言渡しを受けてから14日間である(刑事訴訟法373条)。この期間内に、控訴審を担当する裁判所(控訴裁判所)宛ての控訴申立書を、第一審の裁判所に提出して、控訴の提起をする(刑事訴訟法374条)。さらに、控訴申立人は、提出期限(通知の翌日から21日以後の日で、控訴裁判所が定めた日)までに、控訴趣意書を提出する(刑事訴訟法376条、刑事訴訟規則236条)。期間経過後の提出である場合は、控訴棄却の決定がなされる(刑事訴訟法386条1項1号)[3]。ただし、期限後の提出がやむを得ない事情に基づくと認められる場合は、期間内に提出したものと取り扱うことができる(刑事訴訟規則238条)。
実態
一般に、高等裁判所は多数の事件を抱えて多忙であることが多い。民事訴訟の場合、控訴しても1回で結審してしまい、原審通りの判決が出される割合が7割程度といわれている。
特に、刑事訴訟では、「やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかった」場合でない限り、新しい証拠を取調べないという刑事訴訟法382条の2、393条第1項を厳格に適用し、被告人の証拠申請を全て却下する一方で、検察官の証拠申請は認めるという不公平な取り扱いがあるともいわれている[4]。
脚注
- ^ 裁判に対する上級裁判所への確定前の不服申立てとしては控訴のほか、上告・抗告があり、これらをまとめて上訴という。
- ^ 光市母子殺害事件弁護団の懲戒請求をテレビで呼びかけた弁護士に対する損害賠償請求訴訟のように、控訴人(呼びかけた弁護士)が知事に就任し多忙であった事情もあり、11月27日期限のところ、1通目の理由書を12月12日、2通目の理由書を翌年1月6日、3通目の理由書を2月16日の第1回口頭弁論期日当日に、それぞれ提出したという事例もある。
「橋下さん、多忙はわかるが…裁判長苦言 事件発言控訴審」 asahi.com・2009年2月16日
- ^ オウム真理教事件の教祖に対する刑事裁判のように、期限内の控訴趣意書が提出されなかったため、控訴が棄却され、第一審の死刑判決が確定したという事例もある。
- ^ 高野隆 (2007-05-14). "二重の危険". 刑事裁判を考える:高野隆@ブログ. 2009-11-14 閲覧。
関連項目
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