潜水艦(せんすいかん、submarine)とは、耐圧構造の船体を持ち、潜航可能な軍艦である。同様の構造の船でも、民間の海底探査用および水中遊覧用船舶は潜水艇、潜水船などと呼ばれる。
潜水艦は巡洋艦や駆逐艦など他の水上艦艇と異なり、潜航可能という大きな特徴を持つ。潜航時は水上航行時に比べて被探知確率が激減するので、高い隠密性が保てる。この隠密行動能力は潜水艦最大の特徴であり、「人類が発明した究極のステルス兵器」といわれる。
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防水構造の船体で水中を航行する案は、古来より見られる。アレキサンダー大王の死後の伝説アレクサンドロス・ロマンスのヴンダーブリーフエ(「奇譚書翰」)においては鉄籠にガラスの樽の窓をつけ海に潜ったというエピソードが紀元4世紀頃付け加えられる[1]、など夢想されてきた。1620年にはオランダ人コルネリウス・ドレベルがイギリス海軍向けに潜水艦(櫂を人力で漕いで推進するもの)を作ったが実戦には使われなかった。実際に建造され実戦投入された潜水艦は、1776年にデヴィッド・ブッシュネルが開発したタートル潜水艇が最初となる。本艦は卵形船体で乗員数は一人、人力駆動の螺旋型推進装置を装備しており、アメリカ独立戦争時に米国が使用したが、敵艦艇撃沈には至らなかった。
アメリカの南北戦争中、南部のアラバマ州モービルで建造された南軍の人力推進潜水艇ハンリーは、1864年サウスカロライナ州チャールストン港外で同港を封鎖中の北軍木造蒸気帆船フーサトニックを外装水雷によって攻撃、撃沈した。これが戦争中に潜水艦(潜水艇)が敵船を沈めた最初の例である。ハンリーは乗員と共に帰還しなかったが、その後1995年に港外の海底で発見され、2000年に引き揚げられて保存・展示されている。艦名は建造出資者の一人ホレス・ローソン・ハンリーにちなんで命名されたが、当人は艇長として乗艦中に発生した2度目の沈没事故で死亡した。1867年にはカタロニア人ナルシス・ムントリオルがスペイン海軍の援助を受けて、潜水艦「イクティネオII」を非大気依存推進させることに成功している。
なお、当時は潜水艇やデイヴィッド型半潜水艇は敵味方双方からアンフェアで悪魔的な兵器と見なされており、チャールストンを封鎖中の北軍装甲艦ニューアイアンサイズの艦長は、同艦を暗夜襲撃して損傷させ、捕虜になったデイヴィッドの艇長を「文明国で認められていない兵器を用いた罪で」ニューヨークで裁判にかけて絞首刑にすると脅した。
内燃機関を搭載した最初の潜水艦は、1900年に米国で建造されたホーランド潜水艦(水中排水量74t)である。本艦の動力系統は、主機のガソリンエンジンと電動機を直結した方式であり、近代的潜水艦の元祖となった。
潜水艦の本格的活躍は第一次世界大戦からとなる。各国の中で逸早く潜水艦を有効利用したのはドイツ帝国であった。開戦直後の1914年9月、独海軍の潜水艦が英巡洋艦4隻を撃沈する戦果を挙げた。ドイツ帝国は航洋潜水艦を大量建造して、英国はじめ連合国に対する通商破壊戦を遂行、連合国商船部隊に大打撃を与え、その威力を世界に知らしめた。やがて、潜水艦を意味するドイツ語のUボート (Unterseeboot) は、ドイツ海軍の潜水艦を表す代名詞ともなった。
一方で仮想敵国である英国も、石炭焚き蒸気タービンにより艦隊随伴可能な高速潜水艦や、戦艦の主砲を搭載したM型潜水艦を建造して対抗した。
大戦初期の潜水艦は水中排水量100t-600t前後で、主機はガソリンエンジンに代わり燃費に優れるディーゼルエンジンが主流となった。航続距離や弾薬搭載量の増加のため、潜水艦は大型化が進み、大戦後期に42隻完成したU81型は水中排水量約1000t、大戦末期に4隻が完成したU139型では水中排水量約2500tの大きさにまで達した。当時の潜水艦は、水上速力15-20ノット、水中速力8ノット、最大潜航深度100m前後であった。
米国をはじめ戦勝国は独海軍潜水艦を戦利艦として入手し、その技術を吸収した。各国ともドイツ製潜水艦の技術を基礎として、自国の用兵思想に合わせて発展させていく。大日本帝国は、広大な太平洋での艦隊決戦を想定して、艦載機を持つ水上排水量2000t超の大型潜水艦を多数建造した。フランスは、通商破壊戦用に条約制限一杯の20.3cm連装砲塔や艦載艇、捕虜収容施設等を装備し当時世界最大といわれた巡洋潜水艦スルクフ(水上2880t)を建造した。
自国の商船部隊を壊滅寸前にまで追い込まれた英国は、ヴェルサイユ条約でドイツに対し潜水艦保有を禁止させ、 また新型の対潜兵器の開発などに注力しようとしたが、財政難による軍事費削減の影響で、対潜作戦の技術は停滞していた。
一方、潜水艦建造を禁止されたナチス・ドイツは、1935年に再軍備するに当たり、潜水艦建造を再開する。第三帝国海軍は通商破壊を主想定し、水中排水量800t程度の中型艦を大量建造する方針をとった。
この時期は各国の潜水艦とも水上速力15~25ノット、水中速力は大戦時と大差なく8ノット、深度は100m前後であった。
第二次世界大戦開始時、ドイツ海軍は再建途中であった。そのため、完成に時間が掛かる水上戦闘艦艇の建造を後回しにして中型潜水艦量産に注力し、前大戦同様に対英通商破壊を開始した。
一方イギリスは後に各種新型対潜兵器の投入などで対抗したものの、開戦当初から独潜水艦の攻撃で多数の船舶を喪失した。ドイツの暗号機エニグマの生成する暗号が短時間で解読されるようになってからは、それまで秘匿性の高かった潜水艦の所在が明らかとなり、併せてアメリカ参戦による多数の護衛艦や航空機投入で多くを沈めるに至った。これに対し、ドイツ海軍は潜水艦の性能向上を図り、シュノーケルやヴァルター機関などの新技術を導入した新型潜水艦を開発し、大戦末期に投入したが、戦況挽回には至らなかった。
大日本帝国海軍の潜水艦は、航行せず静粛性を保ったまま水平姿勢を維持出来る装置や、航跡が見えにくい酸素魚雷の搭載、長大な航続距離と潜水空母の機能を併せ持つ伊四〇〇型潜水艦などが良く知られる。真珠湾攻撃前の偵察活動や、遣独潜水艦作戦、南方の物資の輸送などで活躍した。前線の意見から不合理な指令系統の見直し、効果的な潜水艦運用の為に潜水艦の地位改善を進め、後期には潜水艦へのレーダー搭載も進められた。これに対し、アメリカは先じて指揮系統の整備・レーダー搭載を進め、軍艦・貨客船への攻撃により日本艦艇へ打撃を与え、海上交通路の寸断、日本の資源海上輸送阻止を行った。
1955年に完成した米海軍のノーチラス号(水上排水量3180t)は、原子炉と蒸気タービンを採用した、史上初の原子力潜水艦であった。本艦は水中速力20ノット、潜航可能時間は3ヶ月間前後であった。原子力主機登場により、潜水艦の水中速力と水中航続力は大きく増大した。それにより、潜水艦の戦闘能力は飛躍的な向上を遂げた。
原子力潜水艦が大型水上艦艇を撃沈した例は、1982年のフォークランド紛争時に、イギリス海軍のコンカラーがアルゼンチン海軍の巡洋艦ヘネラル・ベルグラーノを雷撃にて撃沈した事例が最初である。コンカラーはヘネラル・ベルグラーノを24時間以上追跡したが、全く探知されなかった。この戦いにより、それまで水上艦に対し圧倒的に不利と思われていた原潜の有効性が証明された。
潜水艦は動力源に注目すると、通常動力型潜水艦、原子力潜水艦(または核動力潜水艦)に分類できる。任務別に分類した場合、時代や国家によって差異があるが、概ね攻撃型と戦略型に大別できる。
攻撃潜水艦(攻撃型潜水艦)は、魚雷や機雷などを主兵装とし、敵の水上艦艇や潜水艦などの攻撃を任務とする潜水艦である。第二次大戦時頃までの攻撃潜水艦は、機能や任務に応じて艦隊潜水艦・航洋潜水艦・哨戒潜水艦・対潜潜水艦など多種多様な分類があったが、現代ではそれらの境界線が曖昧になり、ほとんど区別されなくなった。略称は、米英海軍および海上自衛隊ではSSと呼ばれる。原子力推進式のものは、核動力(Nuclear)を表すNを付けてSSNになる。ロシア海軍式に略すとそれぞれ、PL、PLAになる。
かつての潜水艦は、水上艦艇に比べ最高速力や防御力、電子装備、水中航続距離などの基本的能力が劣り、巡洋艦や駆逐艦とまともに戦闘するのは分が悪かった。このため、主に待ち伏せ攻撃、港湾での情報収集、特殊部隊投入、物資輸送、通商破壊などの対貨客船任務、などの任務に投入された。しかし第二次大戦以降、魚雷やソナー、各種電子機器、通信装置の性能向上、さらに原子力機関の登場により画期的に性能が向上し、現在では強力な戦闘力を持つ最強の軍艦として、かつての戦艦に匹敵する地位を獲得した。
攻撃型潜水艦は敵水上艦船だけでなく敵潜水艦も攻撃目標とするようになった。隠密性の高い潜水艦を探知し攻撃するのはやはり潜水艦が有利だからである。そこで敵の戦略ミサイル潜水艦を攻撃する任務や、自国の艦隊を敵の攻撃型潜水艦から護衛する任務を与えられている。
また、冷戦終結後はソ連海軍の脅威が低くなったため、米海軍の攻撃型原子力潜水艦は戦略ミサイル原子力潜水艦の任務に多様化と同様に、従来の潜水艦の攻撃及び護衛の任務に加えて、巡航ミサイルを用いての対地攻撃や、敵対国の沿岸に侵入しての偵察と情報収集活動や、特殊部隊の投入と回収の任務などを行なうようになった。
映画・シミュレーションゲームでは潜水艦同士の戦闘がよく描かれるが、ホーミング魚雷の実用化以前の潜水艦同士の戦闘は、お互いに水中を三次元的に移動するので攻撃は困難であり、また現代では潜水艦を保有する国同士の本格的な戦闘例が少ないため実現されていない。数少ない例としては、1945年2月に、ノルウェーのベルゲン沖で英潜水艦ヴェンチャラーが、潜望鏡深度を航行中の独潜水艦U-864をソナーで探知、数度シュノーケルを潜望鏡で目視したのちソナーで追撃し雷撃撃沈した例がある[2]。しかし、実質水上艦艇に対する雷撃と変らないため、潜行中の潜水艦同士の戦闘とは言いがたい。
戦略潜水艦(戦略型潜水艦)は、戦略用核ミサイルや巡航ミサイルなどを主兵装とし、遠距離の軍事基地、水上艦隊、敵都市などへの戦略目標攻撃を主任務とする潜水艦である。これには弾道ミサイル潜水艦と巡航ミサイル潜水艦がある。
弾道ミサイル潜水艦は核弾頭を備えた潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載し、敵国への核攻撃を目的とする潜水艦である。戦略ミサイル原子力潜水艦とも呼ぶ。米英露仏中のみが保有する潜水艦である。米海軍での略称は「SSB」および原子力推進の「SSBN」。米俗語で「Boomer(ブーマー)」と呼ばれる。通常動力型の弾道ミサイル潜水艦(SSB相当)は、ソ連海軍のゴルフ級など、一時期は存在していた。その性質上、長期航行が可能な原子力推進が採用されるようになり、原子力推進のみとなった。冷戦初期は弾道ミサイルの射程が短く、仮想敵国にミサイルが届く位置まで静かに移動できる潜水艦が有効であった。現在でも敵の事前攻撃を避ける事が望まれるために潜水艦が有効である。
現代において、潜水艦にSLBMを搭載する目的は、
と言う報復核戦力の保持である。自国がこのような反撃力を保有すれば敵は先制攻撃を決断できず、核戦争は起こらないとされる相互確証破壊戦略である。
任務上、核戦争が始まると真っ先に敵が攻撃して来るので、極めて生存性・静粛性が重視される。このため、定期的な浮上を必要とする通常動力推進は使えず、原子力推進が取られる。従来はSLBMの発射時に浮上する必要があったが、最近のものは潜航したまま発射できる。機動性より静粛性が要求されるため、攻撃型原子力潜水艦と比較して、低速であり、居住性も良い。
詳細は「巡航ミサイル潜水艦」を参照
米海軍のみが持つ巡航ミサイル潜水艦は、巡航ミサイルを搭載しての対地攻撃を目的としたもの。冷戦終結による核抑止力の重要性が低下したため、米海軍では一部の弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)を対地攻撃用に改造したオハイオ級原子力潜水艦などが現れた。
ソ連海軍も冷戦期に、米海軍の巡航ミサイル潜水艦に似た誘導ミサイル潜水艦を保有していたが、こちらは対地攻撃用ではなく敵艦隊攻撃用の対艦ミサイルを搭載していた。
詳細は「特殊潜航艇」を参照
排水量数十トン、乗員数名程度の超小型潜水艦。兵装搭載力や航続力が小さく外洋航行力には欠けるものの、小型のため探知され難く、特に水深が浅く障害物の多い海域では探知・攻撃される可能性が低い。そのため、沿岸警備や待ち伏せ攻撃に使用される。第二次大戦時には真珠湾攻撃に使用された日本海軍の甲標的や、戦艦ティルピッツ攻撃に使用された英海軍のX型潜航艇などを始めとして各国で特殊潜航艇が製造された。
現代でもその利点を生かして、敵の支配水域に侵入して情報収集に当ったり、スパイを送り込んだり、捕えた敵を海岸付近で収容して誘拐したりすることに用いられる場合もある。平時にも特殊潜航艇は領海に不法侵入して活動を行うので、冷戦期のソ連特殊潜航艇は西側諸国にとって厄介な敵であった。特にソ連、ユーゴスラビアでの開発が著しく、北朝鮮はユーゴスラビアから技術を移入して潜航艇建造に努めてきた経緯がある。一方で、イタリアにおいても一部企業が特殊作戦用の潜航艇を建造しており、同海軍は採用していないものの、ユーゴスラビアや中近東諸国、コロンビアなどに輸出された実績がある。
1996年の韓国の江陵浸透事件では、北朝鮮工作員がサンオ級潜航艇による韓国国内侵入に成功しており、侵入作戦用器材としての潜航艇の有用性を証明している。
潜水艦の船体形状は、水上船舶とほぼ同形の船型と、円筒形状の涙滴型・葉巻型・鯨型などがある。 船型船体は水上での抵抗が少なく、水上航行時に高速発揮可能。一方、涙滴型・葉巻型・鯨型などは逆に水中での抵抗が少ない。
第二次大戦時までの潜水艦は、水上航行時間が多かったので、船体形状は船型が多かった。だが第二次大戦以降、推進装置の高性能化により水中行動能力が大幅向上し、潜水艦は航海時の大半を水中航行するようになった。史上初の涙滴型潜水艦はアルバコア(米海軍、1953年進水)であり、それ以後に設計された潜水艦は、涙滴型や葉巻型の船体が主流となって行った。現代の潜水艦は大部分が円筒形状の船体である。
潜水艦の船体構造は、単殻式と複殻式に大別される。単殻式は、船体は耐圧構造船殻一層だけで、その内部に居住区画・機関・海水/燃料槽を収容している。一方複殻式は、非耐圧構造の外殻と耐圧構造の内殻の二層からなる二重構造船体であり、丁度魔法瓶の様に出来ている。外殻と内殻の間は海水および燃料を注入し、内殻内部に居住区画その他を収容する。外部の海水から掛かる水圧は外殻には掛からず、外殻と内殻の間にある海水と燃料を媒介して、内殻に伝わる。そのため、外殻は非耐圧でも問題ない。
単殻式船体と比べ、複殻式の特徴は、
などである。他に、単殻式船体の側面に非耐圧構造の張り出しを設けて、そこを海水や燃料を入れるタンクとした半殻式(サドル・タンク式及び部分複殻式)と呼ばれる、両者の中間を取ったものも造られ、第二次大戦時の潜水艦に多く見られる。他に特殊な船体形状として、外殻内部に2本の内殻がある、伊四〇〇型潜水艦やタイフーン級などがある。
船体構造材(船殻材)には、深深度での水圧に耐え得る高強度の素材が必要とされる。現代の潜水艦では、船殻には主に高張力鋼が用いられている。ソ連のアルファ級などでは、チタン合金も見られる。チタンは高張力鋼より磁性が低く、磁気探知機による被捕捉率が低い。また、同じ重量の高張力鋼より強度も高い。しかし加工が困難であることや音波の反射性が高いこと、高張力鋼より加工費が高い、などの理由から一般化していない。
潜水艦は浮上時は、船体排水量が浮力より小さいので、水上に浮いている。潜りたい時は、艦内の海水槽に海水を注入し、船体排水量を浮力より大きくする事で沈降する。海水槽にはメインバラストタンク(メインタンク、バラストタンクなどと略)、ネガティブタンク、トリムタンクがある。メインタンクは海水または空気を注入する船体浮力調整用タンクで、ネガティブタンクはメインタンクの補助用の浮力微調整用小型タンクである。トリムタンクはトリム(艦の前後の傾き)調整用であり、船体前後に二箇所設置されており、船体前後の重量比を操作する。
潜水艦は潜航する場合、先ずベント弁(メインタンク内部空気排出弁)を開く。すると、フラッドホール(メインタンク下部の海水注入用の穴)から海水が入り、船体重量が増加して艦は沈下を開始する。その後、トリムタンクや舵を操作して艦首を下げ、目標深度へ到達する。目標深度到達後は、トリムを調節して水平状態を保てるようにする。浮上時には、艦内の圧縮空気タンクからメインタンクへの空気を注入する。と、同時にタンク内から海水が排出されて船体が軽くなり、艦は浮き始める。この操作はメインタンク・ブローと呼ばれる。
なお潜水艦の最大潜航深度は重要な軍事機密であり、観艦式などでは、外部の人間に深度計を見られないように、貼り紙などで隠してしまう。よって公表潜航深度は参考程度の価値しかないが、それらによると、攻撃型潜水艦の潜航深度は300~600m程度、戦略ミサイル原潜が100~500m程度である。 武装した潜水艦の潜航深度記録は、1985年にチタン合金船殻のソ連原潜K-278が記録した1027mで、K-278はこの深度で魚雷発射が可能であったと言われている。当時この深度の潜水艦を探知・攻撃する能力はどの国にも無かった。なお、軍事以外の潜水艇の深度世界記録は、1960年に深海調査艇トリエステ2号が出した深度10,916mである。
潜水艦は水上艦と違い、トリムバランス以外にも水中での三次元立体運動を行う必要があるため、縦舵の他に横舵と潜舵を装備している。 潜舵は従来、艦首部に配置されていたが、艦首部はソナーなどの音響装置の空間になったために、騒音軽減のため艦橋側面に装着するのが主流となった。この方式はセイル・プレーン式と呼ばれる。一方、ソ連・ロシア海軍は、艦首部に装着していた(バウ・プレーン式)。その理由は、バウ・プレーン式の方が潜舵の反応性が良好で水中運動性に有利、という理由の他に、同国潜水艦は北極海での行動が多いという事情もある。北極海において浮上する場合、海氷を艦橋上部で破砕する必要があり、その際に艦橋に潜舵があると損壊する危険が有るためである。
また、艦尾の操舵部分は『十字型』が多かったが、近年は「事故による損傷からのフェイルセーフ」と「水上航行時の操舵性能の向上」のため『X型』の操舵翼が増えてきている。
潜水艦の推進装置には、特殊加工されたスクリュー・プロペラ推進、またはスキュード・プロペラの周囲に円形シェラウド(覆い)を付けて推進効率と低音響探知性を目指した、(一般紙などの軍事情報で良く誤用される)『ポンプジェット推進』などが使用される。総じて推進効率ではプロペラ推進、静粛性ではポンプジェット推進が勝るとされる。スクリュープロペラ推進では、キャビテーション現象の発生と、それによる騒音に難がある。キャビテーションとは、高速力発揮のためプロペラを高速回転させると、プロペラ外周付近の海水圧が低下し真空域を生じ、それによって海水が気化、水蒸気の気泡が無数に発生する現象である。キャビテーションで発生した気泡は生成直後すぐ破裂し、その衝撃でプロペラを腐食させてしまう。また、気泡炸裂音で敵ソナーに捕捉される可能性が高まる。そのため、プロペラ形状には水上艦以上の設計加工技術が必要であり、形状から性能も推し量れるため、各国とも最新鋭潜水艦の進水式では「プロペラ部」を隠して進水させている。また『東芝COCOM違反事件』のような日米外交問題もかつては発生した。
キャビテーション現象による騒音を抑えるため、近年の潜水艦ではハイスキュード・プロペラと呼ばれる「鎌状で捻りの入った」特殊形状のものが使用される。このプロペラは通常の型より推進効率は低下するが、静粛性は向上できるとされている。キャビテーションを大幅に低減させるには、ポンプジェット(水流噴射推進)を用いるべきだが、これは深海域では海水圧に噴流能力が勝てず、推進効率も著しく低下する(一般プロペラの推進効率65%に対して僅か45%程度)ので、出力に余裕がある原子力潜水艦といえど通常推進には使い辛い。
究極的には、良導体である海水に磁界を掛けて推進する『電磁推進』方式に勝る物はないが、潜水艦の利点である「遍在性」をその強力な発生磁界が損なうのと、核動力AIP以外では超電導磁石への供給電力を賄えないため、今後も実戦配備される可能性は乏しいと思われる。
「通常動力型潜水艦」、「原子力」、「原子炉」、および「原子力潜水艦」も参照
潜水艦は、登場以来長らくディーゼル機関と電動機を併用していた。この方式には直結式とディーゼル・エレクトリック方式がある。直結式はディーゼル機関、電動機(発電機兼用)、スクリューを直結したもので、水上航行時にはディーゼル機関を、水中航行時は電動機で航行する。ディーゼル・エレクトリック方式は、水上航行時はディーゼル機関で発電機を回してその電力で電動機を動かし、水中航行時は蓄電池の電力で電動機を動かす。前者は水上航行時に高速が出せるが充電効率が低かった。そのため、潜水艦の水中航行が主流となった第二次大戦以後は、充電効率に優れる後者が主流となった。
第二次大戦後は、原子力機関の登場により潜水艦の水中速力は大きく上がり、可潜時間は数ヶ月近くにまで増えた。原子力機関は有り余る出力を生かして海水を電気分解し、艦内へ常時新鮮な酸素を提供する。このため、原子力潜水艦は「世界一空気がきれい」と言われるほど艦内は快適である。しかし、超微量の放射線漏れは絶えずあり(特に艦外)、米軍の乗員は放射線被曝線量測定バッジをつける。
常に蓄電池の残量を気にしながら、定期的な浮上を必要とする通常動力型潜水艦と、「無限」の航続力を持ち氷の下の北極海すら航行可能な原子力潜水艦との間には、可潜艦と潜水艦ほどの差がある。特に、抑止力としての弾道ミサイル潜水艦は原子力無くして成立しない(ただし、通常動力型の弾道ミサイル潜水艦が無かったわけではない)。こうして見ると、原子力潜水艦は圧倒的に優位と思われるが、構造上解決できない欠点もある。
原子力推進は、原子炉冷却水循環ポンプや蒸気タービン駆動であればブレードや減速ギアの騒音が発生するので、潜行中の動力を蓄電池と電動機にてまかなう通常動力艦よりも静粛性に劣る上に、原子炉の冷却を停止することができないため、たとえ低出力下で自然循環冷却可能であっても、通常動力艦のように一切の作動音を停止し無音状態にすることは不可能である。そのため、攻撃型潜水艦の戦闘局面に限れば、原子力艦も通常動力艦も優劣付けがたいとされる。また、技術的水準や建造費、維持費が高く、保有できる国は限られる。日本等は技術上の問題の他、原子力に対して否定的な世論の存在により保有していない。
他に近年、燃料電池やスターリングエンジンなど、通常動力潜水艦の水中行動力向上を狙った非大気依存推進(Air Independent Propulsion,AIP)が登場している。
潜航中の潜水艦の航法には、慣性航法装置(INS)、全地球測位システム(GPS)、海底追随航法などがある。海底追随航法は、通常は海図で自艦の位置を把握して、時折り音波の反射を利用して位置を確認する方法である。秘匿性を求められる潜水艦は、(有事に限らず)アクティブソナーを発して海中航行する事は自殺行為であるため、『目隠しをして飛行機を操縦する』かの如く、パッシブによる「周囲の音響変化」などをたよりに手探りで航行しなければならない。そのため、一大潜水艦隊を運用している米露海軍は、独自の『海洋調査船』を複数運用する事などによって絶えず『想定戦場』となる海域の海底地図を作成しているといわれる。勿論、潜水艦部隊の通常哨戒によって地図の精度を上げるなどの努力は行われていると見られる。
日本のみならず中国や韓国も独自に海底地図などを作成していると見られるが、『北方領土問題』だけでなく『尖閣諸島』や海底資源に対する外交問題、『竹島領有権問題』などにより、その行為は度々日本近海で問題を生じている。
潜水艦、特に第二次大戦時やそれ以前の種類は、居住性が劣悪であった。元々軍艦の居住性は良いとは言えないが、潜水艦は特に酷かった。艦内は湿気だらけで洗濯物も乾かせず、また燃料・排気・カビなどの臭気が充満しているので、嗅覚に異常をきたす上、それらの臭いが体に染み付いてしまう。真水は貴重なので入浴は制限される。
潜水艦には冷房装置が備えられているものの、多くは動力の冷却などに使われるため、室温が25度を下ることはなかった。敵艦に接近する場合は聴音されるのを防ぐため冷房装置を停止させたので、より高温になった。また、潜行中は水圧の関係からトイレも使用できなくなった。このような環境で毎日単調な任務が延々と続くので、潜水艦勤務は非常に過酷であった。
原子力機関の登場後は、居住環境は以前よりも改善された。前述のように大出力の原子力機関は電力に余裕があり、電気分解や海水蒸留を行えるので酸素や真水の確保には困らない。大型の戦略原潜タイフーン級では、プールやサウナまで装備されている。
しかし、一度出航したら数ヶ月間帰還出来ない原潜クルーは、家族との関係を保つのが困難である。米海軍では、潜水艦は一回の航海に付き一組は離婚する乗組員が出るという。また、潜水艦乗員は極めて厳しい肉体的・精神的条件をクリアしなければならないが、鬱病や神経症にかかる乗員も少なくないとされている。 この問題はどの国の事情も同じ様である。そもそも潜水艦の作戦行動は機密が要であり、乗組員はその家族にすら作戦の開始日・期間等を教えることができない。
過酷な任務に就くため、食事は海軍の中でも最も充実していると言われており、食料不足に悩んでいた大戦末期の大日本帝国やナチスドイツでも、潜水艦には優先的に食料が配給された。ただし、狭く環境の悪い潜水艦では新鮮な食べ物は出航後数週間で消費し尽くされ、その後は似たような保存食がずっと出される事となる。
日本の潜水艦の場合、食事は主食に白米・乾麺、副食に乾燥野菜(切り干し大根など)と缶詰、漬物各種の他、比較的保存しやすい生鮮野菜としてタマネギとジャガイモ(とはいえ、これらの生鮮野菜は一週間程度で底をつく)などを材料とした各種のメニュ−が供された。ドイツの潜水艦の場合、ほぼ毎食が、「主食はサラミソーセージとチーズやバター、艦内でまとめて焼かれる黒パン、付け合わせとしてザワークラウト、生鮮野菜としてのタマネギとジャガイモの煮込み、デザートでレモン(ただし日本の潜水艦と同様に、生鮮野菜や果物は一週間程度しか供されない)」であった。これらの食事では、当然のごとく各種栄養素が不足する。このため、東西の潜水艦乗員はビタミン剤をはじめとするサプリメントの大量補給が必須であった。
戦時中のドイツや日本では、海軍の他の部隊と比べて潜水艦は上下関係が緩やかであったといわれる。日本の場合は、艦長ですら自分の下着は自分で洗濯せねばならないほどであった。(ただし、通常動力艦では真水自体貴重品であり航海中の洗濯はほぼ不可能であった)
士官が充てられるポストとしては、艦長、副長、先任将校、航海長、機関長、水雷長、通信長などがある。艦長の階級は、戦時中の日本では少佐、ドイツでは大尉が普通であった。
就寝用のスペースも限られたため、士官や下士官は通路の脇に設置されたベッドで就寝したが、比較的小型な独海軍のUボートではベッドは数人で共有、弾薬庫の中で魚雷と一緒に寝ていた下級の乗組員もいた程であった。太平洋での艦隊戦用に大型の艦形であった大日本帝国海軍のイ号潜水艦は、一応一人に一つのベッドは確保されていたが、その代わりに航海期間はUボートより長かった。
現代の米国海軍原子力潜水艦では、艦長と副長のみ個室が与えられる。艦長室を使用できるのは艦長のみであり、艦長より上級の士官・提督が乗り込む場合、上官は副長室にある予備のベッドを使用する。その他の乗組員は専用のベッドを与えられるが、さらに下級の乗組員は一つのベッドを3人3交代で使用しなければならない。
一方、旧ソ連・ロシア海軍の原子力潜水艦は、極端な省力化により乗員を減らし、大きな艦内スペースを確保した例もある。ただし省力化による弊害もあり、原子炉の事故などに対応出来ないなどの問題も生じた。
通常の艦艇と異なり、潜水艦は海中で行動する。このため、他の艦艇と戦闘システムは大きく異なっている。空気中と違って、水中では電磁波の減衰が著しいため、電波を用いるレーダーや可視光域・不可視光域での光学的捜索といった手段は使えない。その代わり、主となるのが、海洋中における音波の性質を利用した捜索・攻撃である。その主たる手段がソナーであり、ソナーによる探知と回避をめぐる技術的な蓄積と、それらを用いた対峙を総称して水中音響戦(hydroacoustic battle)と称する。この点について前提となる音波の性質や海中における音波伝播について説明する。
ソナーで使われる音波(超音波)は、低周波のものと高周波のものとに大分される。
以上の理由により、両者の長短をそれぞれ補うように、高周波ソナーと低周波ソナーを両方装備するのが一般的である。
音波の伝播は、海域の地形・海水の成分・温度・海流などによって複雑に変化する。そのため、日頃から海洋観測によってその海域についてのデータを集めておくことが、水中音響戦に於ける勝利の鍵を握る事となる。
海の中は、単純化すると混合層、水温躍層、深海等温層に分けられる(実際には地形や海流などにより複雑に変化する)。
混合層は海面付近に位置する海水の層で、主として海面と大気との熱交換、および海上風による対流で海水が混ぜ合わされているので、温度および塩分によって決まる密度が一定である。
通常、混合層から水温躍層へ移行するに従って緩やかに温度が下がっていくので、両者の明確な差は無い。だが、正午頃に海面水温が急上昇するなど、水温が急激に変化する事でレイヤーデプス(LD)と呼ばれる温度境界層が出現する場合があり、この現象はアフタヌーン・エフェクトと呼ばれている。
アフタヌーン・エフェクトによりLDが形成されると、混合層はサーフェイス・ダクト(SD)と呼ばれるダクトになる。SDでは音波が海面とLDでの間で反射を繰り返しながら遠距離まで伝搬していくので、SDにいる敵を、アクティブ・ソナーにより通常よりも遠距離から探知できる場合がある。ただし、LDより下の層(水温躍層)に敵がいる場合、音波がLDで反射されてしまい、音波伝播が複雑になるのでアクティブ・ソナーを利用しての探知が難しくなる。そのため、アフタヌーン・エフェクトが発生した時に潜水艦はLDの下に隠れれば、被探知を防いで敵水上艦に奇襲攻撃をかける事が可能となる。
一方、運が良ければ水上艦はLD下に潜む潜水艦を探知できる距離―ベスト・デプス・レンジ(BDR)を発見できる。 BDRはLDの距離によって変化するので、BDRをいち早く発見するのが水上艦にとって生死を分ける鍵となる。
混合層の下層に位置する水温躍層(季節躍層、永久躍層)においては、深度に比例して水温が下がるので、それにより音波が下向きに曲げられて進む。
下向きに進んだ音波は、浅海ならばその後海底で反射されて海面まで進んで行き、海面で反射されてもう一度海底まで進む・・・という事を繰り返して伝搬して行く。そのため、海底の間に音波が届かないシャドー・ゾーン(不感帯)と呼ばれる部分が形成され、ここはソナーの死角となる。
深度1000mを超えた辺りから水温はほぼ一定になるので、この層は深海等温層と呼ばれる。水温がほぼ一定になる事により、音波は下向きに進まなくなる。逆に、今度は水圧により上向きに曲げられて海面方向へ進んで行く。
これにより、深度3000~5000m以上の深海では、いったん海底方向まで進んだ音波が戻ってきて再び海面に集まるので、何もない海面上で突然ソナーに反応がある現象が起こる。この海域を収束帯(コンバージェンス・ゾーン,CZ)と呼び、発信源から距離27~33海里毎、幅4~5海里の区画にCZが現れる(海水の成分や温度により変化する)。CZを利用すれば自艦から27~33海里彼方にある敵艦の探知も可能(条件が良ければさらに第二収束帯、第三収束帯・・・つまり81~99海里の彼方まで探知可能)となる。そのため、パッシブ・ソナーにてCZで探知した敵を直ちに攻撃できるように対潜ミサイルが開発された。
また、深度1000m付近の水温躍層と深海等温層との間では、水温と水圧のバランスによりサウンド・チャンネル、SCと呼ばれる音波伝播層が出現する。SCでは反射による音波の吸収・減衰が無いので、非常に遠くまで音波が伝播して行く。クジラなどはSCを利用する事で、超音波により何千海里も離れた仲間と連絡を取っている。SCは稀に浅海でも発生する事もあり、詳しい原理は解っていない。
SCを利用すると非常に遠くの敵艦を探知できる可能性があるが、SCまで潜れる潜水艦はソ連のアルファ級を除けば存在しない。しかし、曳航ソナー、TASSを使えばそこまで潜らなくてもSCを利用する事ができる。また、SCには敵潜水艦の通過を監視するSOSUSなどの固定式海中ソナー監視網が設置されている。
詳細は「ソナー」を参照
ソナーでの探知には、アクティブ式とパッシブ式がある。
アクティブ式は、ソナーから探知音を出して、その音が目標に命中して反射して、跳ね返ってきた音を受信する方式である。しかしこの方式では、探知音を出すことでかなりの電力が消費されるだけでなく、発した音波によって探知が可能な距離よりも遠くまで届いた音波を逆探知され、自らの所在を暴露してしまう危険が伴う。
パッシブ式は、目標が発した音響をそのまま受信する方式である。自らの所在を暴露してしまう危険はない。ただし、この方式による目標の正確な位置の測定精度はアクティブ式に劣る。また、目標が停止している場合や音響が非常に小さい場合には探知することができない。
つまり、これら2つの方式には一長一短があり、それぞれの特性を補い合わせるように利用する必要がある。通常は、パッシブ・ソナーで目標の大まかな位置を把握しておき、魚雷発射管制時など目標の正確な測定が必要な時に最小限だけアクティブ・ソナーを使う。
潜水艦に装備されている主なソナーには、次のようなものがある。ただし各国によって装備方法は異なるので、米海軍式を中心に解説する。
ソナーによる探知に対しては、静粛化対策が施される。戦後の潜水艦の活動においては、以前とは比較にならないほど潜航時間の比率が増した結果、静粛化がいっそう重視されるようになった。これは、一方では敵に探知されるのを防ぐため、他方では自身のソナーによる探知(特に受聴)を妨げないためであり、攻防のいずれにおいても重要である。そこで、設計上の高度な技術的改良から、艦内床面へのゴムシート敷設や乗員のゴム底靴使用などのような単純な工夫まで、ありとあらゆる対策を実施している。
対艦・対潜戦闘時の潜水艦の主力兵装は魚雷である。潜水艦用魚雷の誘導方式は以下のようなものがある。
以上のようなものがあり、中間誘導・終末誘導などに状況に応じて使い分けられる。
セミアクティブホーミング及び有線誘導の場合、航走途中でコースや速度を変更できる。照準も回頭も済まない内に即発射して敵潜の方向に魚雷を指向して低速静音航走開始させたあと、ソナーにより敵潜への距離、深度、ベクトルなど計測してコースを発射後に修正出来る。
対艦ミサイルは遠距離の敵艦を攻撃出来るが、発射時に自分の位置が暴露するので余り使用されない。
パッシブソナーで、CZ第一収束帯で補足した敵潜水艦を攻撃するために対潜ミサイルを装備するようになった。目標へ正確に誘導するのが難しいので、核弾頭を装備するのが普通だった。やがて、潜水艦の静粛化や時代の流れで核兵器の使用が難しくなると装備されなくなった。
なお、航空機に対しては下手に戦うより潜航して身を隠したほうが安全なため、普通は対空攻撃用の兵装は装備していないことが多い。ただし一部にはヘリコプターなど低速の航空機に対処するために携行式の対空ミサイルを搭載した潜水艦も存在するほか、魚雷発射管から運用されるものとしてIDASなども開発されている。
魚雷は比較的遅いため、目標への照準が不備な場合は魚雷の音響シーカーの探知範囲外に逃げられてしまう。方位だけでなく距離と深度と目標の進行方向と進行速度の評定が重要である。
射撃管制には複雑な計算を必要とし、複数のソナーを使いこなす為に射撃管制装置には高度なコンピュータ・ソフトウェアとデータベースを必要とする。射撃指揮装置のソフトウェアとデータベースは経験の長い米露両国が優れていると言われている。ロシアは自国のディーゼル潜水艦の射撃管制装置を低価格で共産諸国や冷戦後は購入するあらゆる国に輸出している。米国はディーゼル潜水艦を作っていないので西側諸国は射撃管制装置を自製や輸入をしている。
海中深くを潜行する潜水艦は、陸上の兵器のように通常の電波による通信が困難であるため、通信設備に軍事予算を掛けられる国では、超長波などを利用した通信によって本国との連絡を保っている。それだけの予算が掛けられない大多数の国では通常の短波無線による連絡を利用するしかない。潜水艦の通信手段には、次のようなものがある。
ULFは海中深くまで到達するので、潜水艦は最大潜行深度付近で受信可能である。ただし、送信できるデータ量が非常に少ないので、大量の情報受信には向かない。また、ULFは送信するために、全長数十kmに渡る長大なアンテナ施設が必要で、有事の際にはこれらの施設が破壊される危険性がある。情報は一方通行となってしまう。
VLFは海中深度10m程度まで到達するので、深度数メートル程度を潜行すれば受信可能である。実際はそこまで浅く潜ると発見される可能性が高まるが、曳航ブイまたはフローティング・アンテナを使用すれば、潜水艦本体は深深度で受信が可能となる。しかし、送信できる情報量が少ないので、大量の情報通信には向かない。
送信するには巨大な地上アンテナ施設を使うか、E-6マーキュリーなどのTACAMO機(空中通信中継機)によって空中に長いアンテナを吊るす必要がある。また潜水艦からVLFを送信する事は出来ず、情報は一方通行となってしまう。
通信衛星を利用できる国では、通信衛星との間でマイクロ波送信により送受信を行うことができる。マイクロ波は海中まで到達しないので、通信時には潜水艦のアンテナを海面上に露出させる必要があり、敵に探知される可能性が高まる。しかしマイクロ波は大量情報の送受信が可能なため圧縮通信を行なえば作業は短時間で済む。
海中の要所に音波を利用した通信装置を設置し、それを海底ケーブルで地上施設と結ぶ事で、潜水艦との通信を行う。冷戦時には、アメリカ及びソ連海軍が音響通信装置を多数敷設した。
対潜水艦作戦(Anti-submarine warfare、ASW)について説明する。
潜水艦が本格的に実戦投入されたのは第一次世界大戦からである。島国であるイギリス帝国は資源・食料の多くを海外の植民地からの輸入に頼っていた。そのため、通商破壊による英国打倒を狙いドイツ海軍は仮装巡洋艦とともにUボートを大量投入して無制限潜水艦作戦を開始した。
一方、これに対しイギリス海軍も全力で対抗し、大西洋の戦いが幕を開けた。
当時の水上艦には潜水艦に対抗する手段は爆雷位であったが、当時の原始的な爆雷ではUボート撃沈は困難であった。水上艦の対抗手段と言えば、Uボートの浮上時に体当たりか砲撃を加えるのが普通だった。商船の被害が増大して行く中、イギリスが生み出した対抗手段の一つがQシップと呼ばれる武装商船であった。
このQシップを、Uボートの行動が確認された海域へ向け単独航行させる。当時、Uボートに搭載されていた魚雷は貴重品であり、簡単に使える物ではなかった。そのため、護衛無しの単独航行中の商船の場合は、浮上して砲撃で攻撃していた。Qシップは無防備な商船を装い、安心したUボートが攻撃しようと浮上した所を、突然攻撃してこれを撃沈した。
この他に、ASDIC(ソナー)を開発し、Uボートの位置を探知しようと試みた。しかし信頼性の低かった当時のソナーでは、捕捉率は一割に満たなかった。 また、護送船団方式が取られるようになった。船を集団行動させて護衛艦を付ければ、単独行動時よりも輸送効率は悪くなるが、一隻当たりの被発見率を低下させる事が出来る。この方式により、それまで一回の航行に付き10%程度だった貨客船の被撃沈率は1%程度にまで低下した。
この他にも、Uボート基地への機雷敷設などあらゆる対抗策が実施されたが、最終的に連合軍は1600隻余りの貨客船を失い、世界は「灰色の狼」と呼ばれたUボートの恐ろしさを知る事となった。
先の大戦で手痛い被害にあったイギリスだったが、その後は国内の軍縮ムードや財政難の影響で、余り対潜技術は進展しなかった。
第二次大戦では、Uボートは群狼戦術により船団攻撃を始めた。これは、Uボートを3~20隻程度の集団で作戦海域に展開させておく。その内の一隻が敵船団を発見すると、すぐには攻撃を掛けず僚艦に位置情報を連絡し、船団の追尾を続ける。そして夜間になると全艦で一斉波状攻撃をかける戦術で、大きな効果を上げた。潜水艦隊は全て本国司令部のカール・デーニッツの指揮で動いていた。米海軍も日本への通商破壊戦で採用した。
一方、連合軍はこれに対抗すべく、数々の新戦術・新兵器を投入した。
第二次大戦での大西洋の戦いでは、最終的に連合軍は3500隻余りの商船を、ドイツ海軍は700隻余りのUボートを失った。
第二次世界大戦後、性能が向上した現代の潜水艦は今でも水上艦艇にとって大きな脅威である。広い大海の海中を静かに進む潜水艦は位置の捕捉が困難で、原潜などは水中速力が水上艦艇より速いので、水上艦だけで潜水艦に対抗するのは効率が悪い。敵潜水艦の攻撃を目的とする対潜水艦作戦(Anti-Submarine warfare、ASW)には特別に設計された特殊な兵器、対潜兵器が必要であり、平時から敵潜水艦の音、つまり音紋を収集し、海洋調査により海面下の自然状況を把握しておく必要がある。
米海軍は世界中の海洋の海底深度、海水温、磁気、海流を調査し続けている。ソビエト連邦も冷戦時代は同様の努力を払っていたと考えられる。近年では中国海軍が精力的に太平洋方面の海洋データを集めている。アメリカ海軍が調査した大洋底の地磁気のデータからプレートテクトニクスの証拠が得られた。
広い海洋で敵潜水艦を探知するには航空機の機動性が必要であり、専用機材を搭載した対潜哨戒機や哨戒ヘリコプターが使用される。艦船では音響測定艦なども利用される。海底に張られたSOSUSアレイ(SOund SUrveillance System)のような聴音網をかつては使用された。当然、攻撃型潜水艦も敵潜水艦を追う。
対潜水艦作戦で使用される兵器
「潜水艦を扱った作品」を参照
![]() 09:57 | 大日本帝国海軍潜水艦勤務記録 インド洋#1 |
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![]() 10:45 | 最新鋭潜水艦 1/6 |
再生回数:80,396回評価: 提供:You Tube | |
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![]() 10:18 | 消えた潜水艦 イ52号 2 |
再生回数:8,754回評価: 提供:You Tube | |
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![]() 01:39 | 増田屋コーポレーション「ラジコン潜水艦」 : diginfo |
再生回数:22,921回評価: 提供:You Tube | |
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![]() 09:41 | 潜水艦うずしお 5-1 |
再生回数:7,083回評価: 提供:You Tube | |
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