缶・罐(かん)とは、金属板製の容器である。材料によりブリキ缶、スチール缶、アルミ缶などに分かれる。
主に、密封性を持たせて食品や飲料、また燃料や工業原料などを保存するのに使われる。金属の高い密封性を生かして酸素、水分、菌類などから遮断するほか、密封時に窒素や不活性ガスを封入したり、飲食品の場合は密封後に加熱殺菌などをすることで、高い保存性が得られる。
ボイラーのことを「汽缶」略して「缶」と呼ぶこともある(清缶剤など)。また、船舶のエンジンも「罐」と呼ばれる。これは20世紀半ば位まで、船舶の機関はタービン機関が主流であった名残である。 建築物やプラントに設置する金属製のタンクも缶と呼ぶことがあるが、これは密閉、開放を問わない。
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多くが円柱形であるが、直方体(一斗缶)や四角錐台(コンビーフ缶)、楕円柱(魚介類)、円錐台(羊羹)などもあり、細かく分ければ様々な形状が存在する。コンビーフ缶が錐台形なのは、開けた時、中身がきれいに抜けるようにするためである。
一斗缶やドラム缶は再利用可能であり、JISなどで形や大きさが規格化されている。再利用不可能でも、250ml缶や350ml缶など、事実上の標準となっているサイズもある。
蓋・胴体・底を別々に作って接着剤や溶接でくっつけたものを3ピース缶、胴体と底を一体成形して蓋だけあとからくっつけたものは2ピース缶と呼ばれる。蓋や底の接合は、初期ははんだでくっつけていたが、19世紀末に蓋と胴を重ねて胴の外面へ巻き込み圧着する二重巻締法が発明されてからは、現在でもこの方法が主に使われている。
飲料の缶では、製造過程において、熱いまま缶に入れられるものについてはスチール缶が用いられる(缶コーヒーなど)。これは、冷えると中の圧力が下がり、アルミ缶では強度不足から大気圧によってへこんでしまうためである。このような内圧が低い缶を陰圧缶という。また炭酸飲料はその炭酸ガスによって内側から圧力がかかりへこむ心配がない。そのため缶の厚みを薄く、軽くできるアルミ缶が使われる。これは同じく陽圧缶という。しかし素材によって決まるわけではなく、スチールの陽圧缶などもある。簡単な見分け方としては、底が丸くへこんだドーム状をしているものは陽圧缶、平らなものは陰圧缶と判断できる。陽圧缶がドーム状なのは内圧に耐えるためであり、その形状ゆえ基本的に2ピース缶である。
東洋製罐は、CO2と製造時に使用する水の大幅な削減の為、タルク缶(TULC缶:Toyo Ultimate Can)と呼ぶ缶を製造している。通常、2ピース缶ではプレス加工時に潤滑・冷却剤を必要とするが、タルク缶は原料のアルミもしくは鉄にPET樹脂を貼り付けており、これが潤滑油の役割をすることでその洗浄工程を不要としている。その結果、水の使用量およびその浄化による廃棄物の削減ができた。また内外面の塗装が不要で、CO2削減につながっている。缶の特徴として、白色の樹脂を使っているため底面が白い。
1996年に小型ペットボトルの使用規制が解禁され、清涼飲料が500mlのペットボトルを中心に販売されるようになった。このため、アルミ缶の製造量の伸びが鈍化・減少する傾向があった。これに対して、アルミ缶製造業者(大和製缶)は2000年にペットボトルと同型の500mlのアルミ製ボトル缶を開発し対抗した(市販されたのは450mlビール缶が最初)。さらに、スチール製ボトル缶も開発され、コーヒーやお茶の容器として利用されている。
ボトル缶のメリットとして、蓋を閉めることができるので中身を一度に消費する必要がないことと、ペットボトルよりも熱伝導率がよく冷えやすいうえ、不要時はペットボトルのような専用プレス機(プレス→針金・ビニルバンド束ね)ではなく、金属製品用のプレス機(針金束ね無し)でスクラップに出来ることが挙げられる。
ボトル缶は蓋も容器自体と同じ材質であるため、蓋も含めてリサイクル可能であり、缶本体とキャップは分別しない。 事実上使い回しが出来るが、メーカーはあくまで使い切り容器なので、「空容器の転用はしないでください」という注意書きがある商品もある。
初期の缶は金づちとのみを使って開けていた。その後缶切りと呼ばれる道具が発明されてからはこれを利用して開封された。食品用の缶詰の場合は円筒形の缶の円形の面を缶切りで切れ込みを入れてこじ開けた。飲料の缶の場合は、缶切りやピックなどで円形の面に二か所穴(注ぎ口、空気穴)をあけ中の飲み物を注いだ。
飲料用の缶は、その後(1970年頃)プルタブ(プルトップ)と呼ばれる缶切りを必要としない蓋(口をつける個所に切り込みが入っている)が発明され、ガラス瓶からの移行が進んだ。初期のプルタブは、現在食品関係で使われるイージーオープン缶の小型版で、缶から切り口の部分が外れるが、プルタブの散乱が問題になったことから、1980年代から缶から外れないステイ・オン・タブ(SOT)が採用された。プルタブ式の缶は1990年代初頭には全廃され、現在その方式を採用している缶飲料は日本には存在しない。
切り口が缶から外れるプルタブは、イージーオープン缶として、1990年頃から食品の缶詰にも利用されている。
食用油、石油製品など液体用の缶では、ネジなどで再び密閉できる注ぎ口がついているものが多い。
菓子用の缶など高い密閉性が要求されないものは、普通のふたによる開閉になっている。
食品の缶詰としては、肉類(コンビーフなど)、魚介類(「ツナ」など)、野菜類(水煮、ホールトマトなど)、果物(シロップ漬け)、その他加工食品(サンマの蒲焼など)、油脂類(食用油、ラードなど)、調味料(主に業務用の調味料)など様々である。
缶詰以外の食品では、菓子によく使われる。飴類の他、煎餅やクッキー、チョコレートなどでは贈答用のものが多い。
缶に詰めた飲料、特に1人で1回で飲める程度の少量のものは缶飲料と呼ばれ、中身に応じて缶ジュース・缶コーヒー・缶ビールなどと呼ばれる。
中身が空(から)の缶のうち、中身を詰める前の未使用の缶は空缶(くうかん)、使用済みの缶は空缶(あきかん)と呼ばれる。
「カン」は本来は「罐」の音である。「缶」は日本特有の略字であり、本来は「フ・フウ、ほとぎ」と読む別字で、酒を入れたり打楽器に使ったりする素焼きの甕を意味した。
「罐」(あるいは略字の「缶」)は本来は水を入れる容器を意味し、水を沸かす容器の意味に広がった。この意味での言葉には「薬缶(やかん)」などがある。現在のような金属容器の意味は、明治期にオランダ語「kan」、英語「can」 の音に通じ、かつ円筒形の瓶(かめ)の意から音訳字として本字を当てるようになって生まれた。
字体からわかるように「かん」の音は旁にある(「觀(観)」「勸(勧)」などと同様)。 これに「缶」の文字を当てるのは、戦後国語改革で当用漢字から「罐」が外され、代字として偏の「缶」を慣習的に用い定着したところ常用漢字として採用されたことによる。 しかし、上述のように「缶」は別字であり、文字の伝統をあまりに無視したものとの批判が強い。同様の文字に、「芸」(ウン)と「藝」(ゲイ)の関係などがある。
缶飲料は手軽に買いやすいが空缶となるため、ごみの問題が顕著化している。よくあるごみの問題に缶の投げ捨て(ポイ捨て)が該当する。ポイ捨てによって町の景観が損なわれたり、リサイクルすることで資源の節約にもなるため自治体やメーカーではポイ捨ての禁止を呼びかけている。また空缶をタバコの灰皿代わりにする者もいるが、幼児などが誤って飲んでしまう事故があり、注意をしなければならない。
近年、スポーツ・コンサート施設やイベント会場では、ゴミ問題や興奮した客が投げ込むのを防ぎ気持ちよくそれらに参加・観覧してもらうようにするため、飲料類(缶・ガラス瓶・ペットボトル)の持参を規制しているところが増えている。特にJリーグでは、全てのスタジアム共通で「缶・ガラス瓶入り飲料は持ち込み禁止」[1]となっており、持参者は入場時に紙コップやプラスチック製タンブラー(近年は環境の配慮の名目でタンブラーを推奨している例が多い)に移し変えるように指導している。
使用済みの缶は、子供でも簡単に入手できるため、缶けりなどの遊びに使われることがある。
使用済みの飲料缶は、缶のデザインや流通数の少ない珍品の缶等を目当てにコレクションするコレクターが存在する。
著名なコレクターとしては元たまで、パーカッショニストの石川浩司と経済アナリストの森永卓郎がいる。
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