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軍国主義

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軍国主義(ぐんこくしゅぎ、Militarism)とは軍事力国家戦略的に重視し、政治体制・戦略財政経済体制・社会構造などの総合的な国力軍事力の増強のため集中的に投入する国家の体制や思想を意味する。軍事主義とも呼ばれる。タカ派軍事力増強に向けて国内のあらゆる領域を統制・管理しようとする傾向があり、非民主的な独裁政治となる場合がある。 通俗的に戦争を支持する人や国の考え、傾向を大まかに指すこともあり、平和主義民主主義の対義語として用いられる。しかし平和主義と同じように非常に包括的な概念である側面を持っており、絶対的な定義は難しい。

目次

概説

軍国主義に基づいた国家体制は、さまざまな国力が軍事力の造成のために投入されるため、国民や各種の組織が軍事的な目的で動員され、その目的のためにしばしば人権思想の自由などが侵害される場合がある。

戦時体制と社会現象的には似ている。戦時体制とは戦争という非常事態において軍事力行使に切迫した必要性が生じるため、必要となる食料や医療品など軍需・生活物資の集中的な生産や、予備役民間防衛などを目的とした人員の動員、敵対する情報機関による諜報活動を妨害・阻止するための各種行動制限や情報統制などを最優先とされる。こういった戦時体制はスイスなどの国では法的、組織的に整備されており、戦時における一時的なものである。

これに対し、軍国主義は国際紛争の問題の解決に当たっては軍事力を積極的に行使する傾向にあり、また国際社会における協調主義や国連憲章に基づく平和主義をしばしば無視する。そのため、恒常的に軍事力の増強を行い、経済を管理し、社会構造や思想世論を統制する国家体制となる。このような体制では政権が暴力主義的になることや、非民主的になることが多い。ゆえに軍国主義は独裁政治と統制経済を伴うことが通例であり、非難の対象となる。

なお名目上は民主主義政体となっていても、帝国主義的な政策をとっていたり、軍人や軍部が政権の中枢を占めており、軍隊に対する文民統制が不十分な国家が「軍国主義」と揶揄(やゆ)されることもあるが、主観が入り込む余地が大きい場合が多い。

歴史的に見られた特徴

軍国主義の定義は明確なものではないので、どの国が軍国主義かという点に関しては政治哲学思想傾向によって大いに議論が分かれるところではある。ここでは、歴史的な観点から、軍国主義的な特徴や個別的な事例を述べるところでとどまる。

独裁政治や全体主義、またはその両者を融合した制度は軍国主義の特徴と考えられている。これは、国民を支配し、政府の方針に異議を唱えさせないことによって、戦争の遂行をより円滑に行うことができるからである。

一般的には、軍国主義社会において圧殺される私権として、言論の自由表現の自由を中心とする「意見を表明し、異議を唱える権利」、参政権選挙権の自由は形式的に保障されることもあるが、秘密投票ではなく、実質的には監視付き・与党支持率100%の翼賛選挙となりやすい)、良心の自由信教の自由といった基本的な人格権など、統制経済が高度に発達している場合には、私有財産制や経済活動の自由が侵害される。

「国家の共通の敵」や「仮想敵国」が設定された場合には、生存権を含む基本的人権が蹂躙(じゅうりん)されることすらある。転居の自由、亡命の権利なども実質的には制限される事が多い。

このように軍国主義の政治的特徴は、(1)いかに国民の権利を制限するか、(2)いかに国家や政府に恭順させるか、という部分に興味が注がれ、国家・政府への絶対的忠誠を誓わせる点にある。

このような軍国主義を可能にする政治制度には二つの面があり、一つは強権的な支配によって国民を押さえつける警察国家的方法であり、もう一つは教育メディア戦略を通して国民を洗脳し、自発的に国家の意思に従わせる全体主義国家的方法である。両者は併用されることが多い。警察国家的側面には、強権的な秘密警察情報機関が必要な要素であり、その他にスパイ密告制度、相互監視の性格を帯びた国民管理の方法をとり、更に刑罰を見せしめとして利用することで国民を威嚇する。

近代的な軍国主義国家においては、裁判の自由と独立は形式的にのみ認められる。実際には極めて強圧的な運用しかされず、政府当局の意志を裁判所がほぼ代弁する形と化すことが少なくない。これは司法権の独立が破られているという根本的な問題のほかに、裁判の基礎となる法律自体が極めて恣意的・非民主的に作られているという点にも起因するものである。

国家予算の大半を軍事費に費やすため、生活インフラストラクチャーなどには財源が回らず、このために赤字財政になることも多い。人権・言論への弾圧や、国民・野党系の政治家への粛清も行われるが、国民がまとまっていない国家をまとめるには都合が好く、センセーショナリズムを伴うことすらある。

参考文献

  • 小寺 聡 (編集), 浜井 修 『倫理用語集 新課程用』 山川出版社
  • 眞邉正行編著 『防衛用語辞典』(2000年,国書刊行会,ISBN 9784336042521)
  • 井上清『井上清史論集〈3〉日本の軍国主義』(2004年,岩波書店/岩波現代文庫,ISBN 4006001134)
  • ジョエル・アンドレアス『戦争中毒 ―アメリカが軍国主義を脱け出せない本当の理由―』(原題「Addicted to War」)合同出版 ISBN 4772602992

関連項目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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