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内閣総理大臣指名選挙

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内閣総理大臣指名選挙(ないかくそうりだいじんしめいせんきょ)は、国会において内閣総理大臣を選出する選挙である。

首班指名選挙(しゅはんしめいせんきょ)または首相指名選挙(しゅしょうしめいせんきょ)とも呼ばれる。

目次

概説

日本では、内閣総辞職した場合、又は内閣総理大臣が欠けた場合、日本国憲法第67条の規定により、国会において文民である国会議員から内閣総理大臣を選出しなければならない。

方法

各院での手続

内閣は国会法第64条に基づき、衆議院参議院に内閣の総辞職又は内閣総理大臣の欠缺を通知する。本会議において、当該通知を受けた旨を議長が議員に報告し、その後直ちに[1]記名投票による内閣総理大臣指名の議決を行う。有効投票総数の過半数の票を得た議員がその議院における被指名者となる。1回目の投票で有効投票総数の過半数の票を得た議員がいない場合は、上位2人による決選投票により決する。議決は、決まり次第もう一方の議院に通知される。

得票同数により、当該上位2人に相当する者が3人以上となり決選進出の2人を選ぶ場合、あるいは決選投票で決着がつかなかった場合は、いずれも得票同数者を対象にくじ引き(抽選)により決選投票進出者又は当選者を決する。このときに使用される抽選札は、箱の中に銀紙に包まれた丸玉が2個あり、包装されている銀紙を解き、黒玉を引いた者がその議院における被指名者となる。尚、過去の国会においてこの抽選が実施された事例は1度もない。

なお、衆議院規則(第18条第4項)及び参議院規則(第20条第4項)には、各院での指名について「投票によらず動議その他の方法で指名できる」旨の規定があるが、両院とも過去この方法で指名された例はない。

各院での指名後

両院における指名の議決(被指名者)が同一人であるときは、その議員が内閣総理大臣となる。両院で被指名者の議決が異なった場合は、両院協議会を開かなければならない(参議院が衆議院に請求して行われる)。両院協議会で両院の意見が一致せず、あるいは出席協議委員の3分の2以上の多数を得た被指名者がなかったときは、衆議院の優越によって衆議院の議決が国会の議決となる。

また、衆議院議決後、国会休会中の期間を除いて10日以内に参議院が議決をしないときは衆議院の議決が国会の議決となる(自然指名)。事実上、衆議院議決で過半数を得る会派の候補が内閣総理大臣に選出される。国会法65条により、議決は衆議院議長内閣を経由して奏上する。

備考

慣例により、参議院議長は投票しないこととなっている(衆議院議長及び両院の副議長は投票している)。

過去

日本国憲法公布後の衆議院における内閣総理大臣指名選挙

衆院議決日 1位 2位
備考
名前 政党 名前 政党
46 1 1947年(昭和22年)
5月23日
片山哲 日本社会党 420 吉田茂 日本自由党 1 419 憲政の常道に基づきほぼ全会一致で投票が行われた
齋藤晃 立憲養正会
47 2 1948年(昭和23年)
2月21日
芦田均 民主党 216 吉田茂 日本自由党 180 36 民主党は第3党
48 3 1948年(昭和23年)
10月14日※
吉田茂 民主自由党 185 片山哲 日本社会党 1 184 憲政の常道に基づき野党の大部分が決選投票では白票を投じた
49 5 1949年(昭和24年)
2月11日
吉田茂 民主自由党 350 浅沼稲次郎 日本社会党 86 264 浅沼は党書記長(片山委員長が落選したため)
50 15 1952年(昭和27年)
10月24日
吉田茂 自由党 247 重光葵 改進党 88 159  
51 16 1953年(昭和28年)
5月19日※
吉田茂 自由党 203 重光葵 改進党 104 99  
52 20 1954年(昭和29年)
12月9日
鳩山一郎 日本民主党 257 緒方竹虎 自由党 191 66 民主党は第2党
53 22 1955年(昭和30年)
3月18日
鳩山一郎 日本民主党 254 鈴木茂三郎 左派社会党 160 94  
54 23 1955年(昭和30年)
11月22日
鳩山一郎 自由民主党 288 鈴木茂三郎 日本社会党 150 138  
55 26 1956年(昭和31年)
12月23日
石橋湛山 自由民主党 291 鈴木茂三郎 日本社会党 150 141  
56 26 1957年(昭和32年)
2月25日
岸信介 自由民主党 276 鈴木茂三郎 日本社会党 129 147 岸は副総理で石橋総裁より後任総裁指名
57 29 1958年(昭和33年)
6月12日
岸信介 自由民主党 290 鈴木茂三郎 日本社会党 162 128  
58 35 1960年(昭和35年)
7月18日
池田勇人 自由民主党 275 浅沼稲次郎 日本社会党 121 154  
59 37 1960年(昭和35年)
12月7日
池田勇人 自由民主党 290 江田三郎 日本社会党 141 149 江田は委員長代行(浅沼委員長が死去していたため
60 45 1963年(昭和38年)
12月9日
池田勇人 自由民主党 280 河上丈太郎 日本社会党 137 143  
61 47 1964年(昭和39年)
11月9日
佐藤栄作 自由民主党 283 河上丈太郎 日本社会党 137 146 佐藤は池田総裁より後任総裁指名
62 55 1967年(昭和42年)
2月17日
佐藤栄作 自由民主党 279 佐々木更三 日本社会党 131 148  
63 63 1970年(昭和45年)
1月14日
佐藤栄作 自由民主党 297 成田知巳 日本社会党 89 208  
64 69 1972年(昭和47年)
7月6日
田中角栄 自由民主党 297 成田知巳 日本社会党 86 211  
65 71 1972年(昭和47年)
12月22日
田中角栄 自由民主党 280 成田知巳 日本社会党 116 164  
66 74 1974年(昭和49年)
12月9日
三木武夫 自由民主党 278 成田知巳 日本社会党 117 161  
67 79 1976年(昭和51年)
12月24日
福田赳夫 自由民主党 256 成田知巳 日本社会党 122 134  
68 86 1978年(昭和53年)
12月7日
大平正芳 自由民主党 254 下平正一 日本社会党 116 138 下平は副委員長(飛鳥田委員長が非国会議員のため)
69 89 1979年(昭和54年)
11月6日※
大平正芳 自由民主党 138 福田赳夫 自由民主党 121 17 自民党の党内抗争により非主流派が福田を擁立(四十日抗争
70 92 1980年(昭和55年)
7月17日
鈴木善幸 自由民主党 291 飛鳥田一雄 日本社会党 106 185  
71 97 1982年(昭和57年)
11月26日
中曽根康弘 自由民主党 287 飛鳥田一雄 日本社会党 102 185  
72 101 1983年(昭和58年)
12月26日
中曽根康弘 自由民主党 265 石橋政嗣 日本社会党 114 151  
73 106 1986年(昭和61年)
7月22日
中曽根康弘 自由民主党 304 石橋政嗣 日本社会党 84 220  
74 110 1987年(昭和62年)
11月6日
竹下登 自由民主党 299 土井たか子 日本社会党 145 154  
75 114 1989年(平成元年)
6月10日
宇野宗佑 自由民主党 285 土井たか子 日本社会党 139 146  
76 115 1989年(平成元年)
8月9日
海部俊樹 自由民主党 294 土井たか子 日本社会党 142 152  
77 118 1990年(平成2年)
2月27日
海部俊樹 自由民主党 286 土井たか子 日本社会党 146 140  
78 122 1991年(平成3年)
11月5日
宮澤喜一 自由民主党 276 田邊誠 日本社会党 140 136  
79 127 1993年(平成5年)
8月6日
細川護煕 日本新党 262 河野洋平 自由民主党 224 38 日本新党は第5党
80 129 1994年(平成6年)
4月25日
羽田孜 新生党 274 河野洋平 自由民主党 207 67 新生党は第3党
81 129 1994年(平成6年)
6月29日※
村山富市 日本社会党 261 海部俊樹 無所属 214 47 社会党は第2党
海部は非自社さの首班候補に擁立され自民党を離党
82 135 1996年(平成8年)
1月11日
橋本龍太郎 自由民主党 288 小沢一郎 新進党 167 121  
83 138 1996年(平成8年)
11月7日
橋本龍太郎 自由民主党 262 小沢一郎 新進党 152 110  
84 143 1998年(平成10年)
7月30日
小渕恵三 自由民主党 268 菅直人 民主党 164 104  
85 147 2000年(平成12年)
4月5日
森喜朗 自由民主党 335 鳩山由紀夫 民主党 95 240  
86 148 2000年(平成12年)
7月4日
森喜朗 自由民主党 284 鳩山由紀夫 民主党 130 154  
87 151 2001年(平成13年)
4月26日
小泉純一郎 自由民主党 287 鳩山由紀夫 民主党 127 160  
88 158 2003年(平成15年)
11月19日
小泉純一郎 自由民主党 281 菅直人 民主党 186 95  
89 163 2005年(平成17年)
9月21日
小泉純一郎 自由民主党 340 前原誠司 民主党 114 226  
90 165 2006年(平成18年)
9月26日
安倍晋三 自由民主党 339 小沢一郎 民主党 115 224  
91 168 2007年(平成19年)
9月25日
福田康夫 自由民主党 338 小沢一郎 民主党 117 221  
92 170 2008年(平成20年)
9月24日
麻生太郎 自由民主党 337 小沢一郎 民主党 117 220  
93 172 2009年(平成21年)
9月16日
鳩山由紀夫 民主党 327 若林正俊 自由民主党 119 208 若林は両院議員総会長(総裁の麻生太郎に対する投票を望まない議員の反発による白紙投票を避け、自由民主党が全員一致で投票できる候補として選出されたため)

※は決選投票

衆議院と異なる参議院の議決

内閣総理大臣指名において衆議院と異なる参議院の議決
参院議決日 1位 2位
衆議院及び国会の議決
名前 政党 名前 政党 名前 政党
47 1948年(昭和23年)2月21日 吉田茂 日本自由党 104 芦田均 民主党 102 2 芦田均 民主党
76 1989年(平成元年)8月9日 土井たか子 日本社会党 127 海部俊樹 自由民主党 109 18 海部俊樹 自由民主党
84 1998年(平成10年)7月30日 菅直人 民主党 142 小渕恵三 自由民主党 103 39 小渕恵三 自由民主党
91 2007年(平成19年)9月25日 小沢一郎 民主党 133 福田康夫 自由民主党 106 27 福田康夫 自由民主党
92 2008年(平成20年)9月24日 小沢一郎 民主党 125 麻生太郎 自由民主党 108 17 麻生太郎 自由民主党

※参議院での議決はいずれも決選投票

過去に5例ある。いずれも、「内閣総理大臣の指名両院協議会」で成案を得るに至らず、両院の議決が一致しなかったため衆議院の議決が国会の議決とされた。したがって、参議院側だけが指名した人物がその時に首相就任となったことは一度もないが、後の内閣総理大臣指名選挙において(政治状況の変化により両院で指名され)首相となった例はある(吉田茂)。

衆議院における参議院議員への票

衆議院における参議院議員への票
衆院議決日 名前 政党 総票 得票率
1 1960年(昭和35年)12月7日 江田三郎 日本社会党 141 454 31.06%
2 2009年(平成21年)9月16日 若林正俊 自由民主党 119 480 24.79%
3 1979年(昭和54年)11月6日 宮本顕治 日本共産党 41 504 8.13%
4 1972年(昭和47年)12月22日 野坂参三 日本共産党 40 486 8.23%
5 2009年(平成21年)9月16日 山口那津男 公明党 21 480 4.38%
6 2006年(平成19年)9月26日 福島瑞穂 社会民主党 7 476 1.47%
7 1996年(平成8年)1月11日 笹野貞子 民主改革連合 2 480 0.42%
7 1996年(平成8年)1月11日 矢田部理 新社会党 2 480 0.42%
7 1979年(昭和54年)11月6日 田英夫 社会民主連合 2 504 0.40%
10 2000年(平成12年)7月4日 椎名素夫 無所属の会 1 478 0.21%
  • 同一議員につき多数回の得票事例がある場合は、各人につき最高得票率の1回分のみを記載する。
  • 総票には、衆議院の慣例に従い、無効票も含む(ただし、木札のみを提出し投票用紙を提出しなかった者は棄権扱いとなるため含まない)。

過去の内閣総理大臣指名において、参議院議員が内閣総理大臣に指名されたことは一度もない。内閣総理大臣が事実上の権限を持っている衆議院解散において、自らの議員職を賭けない立場で衆議院解散を行えることが可能な仕組みについて否定的にとらえられていることや様々な法規定で衆議院優越規定があることから、政治的慣例上として衆議院議員のみが内閣総理大臣になることができるという風潮が定着している。

過去に「参議院議員は内閣総理大臣になることができるのか」という質問主意書が出されたことがあり、内閣は『日本国憲法は、第六十七条第一項前段において「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。」と規定している。』と答弁している[2][3]

脚注

  1. ^ 憲法第67条第1項には「他のすべての案件に先だつて」指名を行うとあるが、実際には、首班指名選挙の投票行為の前提となる必要最低限の案件(院の構成そのものに関する案件=議長・副議長の選挙、議席の指定、会期の決定、常任委員の選任、常任委員長の選挙など)はこの「他のすべての案件」には含まれない。衆議院解散・総選挙後の特別国会などそれらの案件を先に処理する必要がある場合には原則としてそれらの後に首班指名選挙が行われる。
  2. ^ 内閣総理大臣に関する質問主意書
  3. ^ 衆議院議員山井和則君提出内閣総理大臣に関する質問に対する答弁書

関連項目

外部リンク

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